Noetraと国家プロジェクトFRONTia — 日本が基盤モデルに国費を投じた
経産省のFRONTiaは2026年度だけで3,873億円、5年で最大1兆円規模。開発を担うNoetraには44社が出資し、2028年にNVIDIA Rubin 27,500基が動く計画だ。確定しているのは最初の2年分である。
2026年、日本はフィジカルAIの基盤モデルに国費を投じる側にまわった。 経済産業省のFRONTiaプロジェクトは2026年度だけで約3,873億円、 5年で最大1兆円規模[3]。 開発を担うNoetraには44社が出資している[1]。 規模は本物だが、確定しているのは最初の2年分だけである。
予算と期間は日経Robotics[3]、出資社数とGPU計画はソフトバンク公式[1]。
FRONTiaとは何か
経済産業省は2026年6月30日、「AIロボット・フィジカルAIを見据えたマルチモーダル基盤モデル開発事業」の 開始を発表した[4]。プロジェクトの通称がFRONTiaで、Foundation for Real-world Omni-Native Trustworthy Intelligence & Alignment の頭字語である[3]。 実施期間は2026年度から2030年度までの約5年間[3]。
体制は二本柱になっている。
| 枠 | 担い手 | 役割 |
|---|---|---|
| 開発枠 | Noetra株式会社 | 1兆パラメータ級の基盤モデルそのものを開発する[3] |
| 探究枠 | 産業技術総合研究所 | 国内外の研究機関と連携し、理論・要素技術・アーキテクチャの先導研究を受け持つ[3,4] |
Noetraという会社
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 設立 | 2026年1月7日。旧社名「日本AI基盤モデル開発」から2026年6月1日に改称[4] |
| 出資 | 計44社。中核はソニーグループ・ソフトバンク・日本電気・本田技研工業の4社[1] |
| 代表 | 丹波廣寅氏[1] |
| 連携先 | 産業技術総合研究所、Preferred Networks[1] |
| 公式 | noetra.co.jp[2] |
計算基盤とロードマップ
計算基盤はNVIDIAと組む。2027年4月に構築を開始し、 2028年6月に約27,500基のNVIDIA Rubin GPUで稼働させる計画である[1]。 日経Roboticsによれば、13,750基のVera CPUと140メガワットのデータセンター容量を伴う[3]。
| 時期 | 到達目標 |
|---|---|
| 2026年度 | 推論基盤モデル[1] |
| 2027年4月 | GPU基盤の構築開始[1] |
| 2028年6月 | 約27,500基のNVIDIA Rubinで稼働[1] |
| 2028年度 | オムニモーダルモデル(言語・画像・動画・音声)[1] |
| 2030年度 | 「実世界ネイティブAI」[1] |
桁を比べる
この投資規模がどの程度かを、本紙が追ってきた数字と並べる。
| 主体 | 規模 | 性格 |
|---|---|---|
| FRONTia(経産省) | 3,873億円/年 | 国費。2026年度単年[3] |
| Skild AI | 約14億ドル | 民間の1ラウンド。2026年1月[6] |
| AIRoA(NEDO事業) | 205億円/4年 | 国費。データプラットフォーム構築[7] |
単年の予算だけで、AIRoAの4年分の約19倍。2026年の民間大型調達と比べても遜色ない水準である。
本紙が書いてきた前提が変わった
本紙は勢力図のコラムとスタートアップ30社のコラムで、 「日本には身体の会社は多いが、モデルの会社が少ない」と書いてきた。 FRONTiaとNoetraの登場で、この前提は資金と体制の面では崩れた。 44社連合に国費が付き、GPUも確保される計画が立った。
ただし、まだ確かめられていないことのほうが多い
現時点で公表されているのは、体制・予算・計算基盤・目標時期である。モデルはまだ一つも出ていない。本紙が基盤モデルを評価するときに見ている指標——重みを公開するか、 どの実機で何時間のデータを集めたか、実際のタスクでの成功率はいくつか——について、 FRONTiaからの発表はまだない。
比較として、NVIDIAのGR00T N1.7は30億パラメータで、 20,854時間の人間の一人称視点動画で事前学習したと具体的に示している[5]。 「1兆パラメータ級」という規模の宣言[3]は、 この種の検証可能な情報とは性質が違う。
したがって、いま評価できるのは意思決定の速さと規模までである。 2028年6月にGPUが動き始めるまで、日本のフィジカルAIの実力を測る材料は、 引き続き出荷台数と現場での稼働実績のほうにある。 本紙はFRONTiaを、予算の発表ではなく成果物の発表で評価していく。
出典
- 1.国産マルチモーダル基盤モデルの開発に向けて本格始動 — ソフトバンク(公式プレスリリース)、2026-07-16一次情報
- 2.Noetra株式会社 公式サイト — Noetra株式会社一次情報
- 3.フィジカルAI向けに経産省が3873億円投資、Noetraなどから成るFRONTiaプロジェクトが始動 — 日経Robotics、2026-08-10
- 4.ソフトバンク/ソニー/NEC/ホンダら出資の「Noetra」が始動 産総研とフィジカルAI向け国産マルチモーダル基盤モデルを開発 — ロボスタ、2026-07-01
- 5.NVIDIA Isaac GR00T N1.7: Open Reasoning VLA Model for Humanoid Robots — NVIDIA(Hugging Face 公式ブログ)、2026-04-17一次情報
- 6.Skild AI Raises $1.4B, Now Valued Over $14B — Skild AI(Business Wire)、2026-01-14一次情報
- 7.NEDOの採択を受け、ロボティクス分野の生成AI基盤モデルの開発に有効なデータプラットフォームの研究開発に着手 — 一般社団法人AIロボット協会(公式)、2025-09-26一次情報
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