何が起きたか
日本経済新聞が2026年9月2日、モスフードサービスグループが遠隔操作型ロボットOriHimeを接客に導入していると報じた。
本紙の見方
本紙は、モスフードサービスが遠隔操作型ロボットOriHimeを接客に導入したという報道を、フィジカルAIの進展と対比される「人が操るロボット」の実用例として位置づける。OriHimeはオリィ研究所が開発した分身ロボットで、パイロットと呼ばれる操縦者が遠隔地から操作する。モスバーガー原宿表参道店では曜日限定で設置され、来店者の口頭案内や、手仕込みのため調理に時間がかかる際の待ち時間の会話を担当するという。 本紙の過去報道では、オリィ研究所が2026年10月より「2026年度 OriHimeインターンシッププログラム」を実施し、分身ロボットカフェDAWN横浜店を2027年8月に開業予定であることを伝えた(オリィ研究所、2026年度OriHimeインターンシップを実施 分身ロボットで就労機会を拡大)。また、吉藤オリィ代表が「移動と対話と役割を克服することで孤独は解消される」と述べたインタビューも報じている(オリィ研究所・吉藤代表、分身ロボットで孤独解消を強調 産経が報じる)。今回のモスフードの導入事例は、こうしたオリィ研究所の取り組みが実際の商業施設で活用される一例であり、分身ロボットの用途が就労支援から一般企業の接客へと広がりつつあることを示す。 一方、AIの高度な判断力とロボットの身体機能を統合したフィジカルAIが進化する中で、人間が遠隔操作するロボットを導入する狙いは、単なる自動化ではなく、人間の役割を残す点にあるとみられる。モスバーガーは店内での手仕込み作業が多く、調理に時間がかかるため、OriHimeとの会話で待ち時間を楽しくする役割を担う。これは、AIによる完全自動化とは異なる「人の温かみ」を提供する戦略と読める。 業界構造への含意として、遠隔操作ロボットの導入は、接客業における人材不足の解消や、障害者などの就労機会の拡大につながる可能性がある。オリィ研究所のインターンシッププログラムは、在宅や遠隔地にいながら就労体験ができる仕組みを提供しており、こうした取り組みが企業の接客現場と結びつくことで、新たな雇用形態が生まれる可能性がある。 未確定の論点としては、モスフードがOriHimeを導入した具体的な期間や、今後の他店舗への展開予定が明らかでない点が挙げられる。また、遠隔操作ロボットの導入コストや運用体制についても、詳細は報じられていない。詳細は原典を参照されたい。
なぜ重要か
モスフードによるOriHimeの導入は、分身ロボットが就労支援の枠を超え、一般企業の接客戦略に組み込まれた事例として注目される。AIによる自動化が進む中で、人間が遠隔操作するロボットの価値が再評価されるきっかけとなる可能性がある。