何が起きたか

自動運転トラック開発のT2、エスビー食品、オタフクソース、エバラ物流の4社は2026年9月3日、自動運転トラックと貨物鉄道を組み合わせたモーダルコンビネーションの実証を同年9月8日から4日間実施すると発表した。対象区間は関東-中国エリア間の約850kmで、T2とJR貨物が共同開発した31フィート共用コンテナを用い、往路はエスビー食品の「赤缶カレー粉」「本生本わさび」など、復路はオタフクソースの「お好みソース500g」を輸送する。物流業界で初めて、複数社の製品を往路・復路で分けて共同輸送する事例となる(T2調べ)。

詳細

実証の輸送経路は、復路でオタフクソースの本社工場から広島貨物ターミナル駅まで通常のトラックで輸送し、広島貨物ターミナル駅から吹田貨物ターミナル駅までを貨物列車で輸送、その後エバラ物流川崎物流センター(神奈川県)までT2の自動運転トラックが担う。レベル2自動運転区間は往路・復路とも東名高速道路・綾瀬スマートIC(神奈川県)から名神高速道路・久御山JCT(京都府)までの約410km。T2は実証を契機に、エスビー食品、オタフクソース、エバラ物流がレベル4を見据えた実証を重ね、商用運行への参画を視野に連携を深めるとしている。

Key Facts

T2、エスビー食品、オタフクソース、エバラ物流の4社は2026年9月8日から4日間、関東-中国エリア間の約850kmでモーダルコンビネーションの実証を行う。[1]
往路はエスビー食品の「赤缶カレー粉」「本生本わさび」など、復路はオタフクソースの「お好みソース500g」を輸送する。[1]
T2とJR貨物が共同開発した31フィート共用コンテナを用いる。[1]
レベル2自動運転区間は往路・復路とも東名高速道路・綾瀬スマートIC(神奈川県)から名神高速道路・久御山JCT(京都府)までの約410km。[1]
物流業界で初めて、複数社の製品を往路・復路で分けて共同輸送する事例(2026年9月3日時点のT2調べ)。[1]

本紙の見方

今回の実証の核心は、自動運転トラックと貨物鉄道の組み合わせに加え、複数社の製品を往路・復路で分けて共同輸送する点にある。従来のモーダルコンビネーションは単一企業の貨物を対象にすることが多く、トラックの空車回送が課題だった。本実証では、エスビー食品の関東発の貨物を往路に、オタフクソースの中国発の貨物を復路に割り当てることで、双方向の貨物を確保し、輸送効率を高める試みだ。これは、T2が掲げる「商用運行」の実現に向けたオペレーション検証の一環とみられる。 本紙が既報の通り、T2は2026年8月にISO 9001認証を取得し、品質管理の国際規格を担保している。今回の実証は、その品質管理体制を実際の輸送オペレーションで試す場としても位置づけられる。また、ビーイングHDの喜多社長がAIによる物流革新を表明したように、物流業界ではAIや自動化への関心が高まっているが、T2のアプローチは自動運転技術を鉄道と組み合わせる点で独自性がある。 業界構造への含意として、食品メーカー2社と物流企業が参画することで、サプライチェーン全体でのモーダルコンビネーション導入が進む可能性がある。特に、エバラ物流が川崎物流センターを拠点にすることで、関東エリアの配送網との接続がスムーズになる。また、JR貨物との共同開発コンテナは、鉄道とトラックの積み替えを効率化する標準化の動きとして注目される。 一方、未確定の論点として、実証の結果が商用運行に結びつくかどうか、レベル4自動運転の実用化時期、共同輸送の対象拡大の可能性などが挙げられる。特に、レベル2区間が約410kmと全体の約半分を占めることから、自動運転の信頼性が実用化の鍵を握る。

なぜ重要か

今回の実証は、自動運転トラックと貨物鉄道の組み合わせに加え、複数社の製品を往復で分けた共同輸送という新たな物流モデルの試金石となる。トラックドライバー不足が深刻化する中、長距離輸送の一部を鉄道にシフトしつつ、自動運転で効率化する手法が実証されれば、物流業界の構造改革につながる可能性がある。

日本への影響

日本の物流業界はドライバー不足に直面しており、今回の実証はその解決策の一つとして注目される。特に、食品メーカーが参画することで、消費財の輸送におけるモーダルコンビネーションの実用性が検証される。日本の鉄道インフラと自動運転技術の組み合わせは、他国に先駆けた取り組みであり、今後の物流政策にも影響を与える可能性がある。