何が起きたか
国際ロボット連盟(IFR)は2022年6月24日、2021年の産業用ロボット世界出荷台数が前年比27%増の48万6800台となり、過去最高を記録したと発表した。地域別ではアジア・オーストラリアが33%増の35万4500台、米州が27%増の4万9400台、欧州が15%増の7万8000台だった。業界別では電子産業が13万2000台(前年比21%増)で最大の顧客となり、自動車産業の10万9000台(同37%増)を上回った。
本紙の見方
今回のIFR発表は、2021年の産業用ロボット市場がパンデミックからの回復を超え、過去最高を記録したことを示す。注目すべきは、電子産業が自動車産業を抜いて最大の顧客となった点だ。これは、半導体や電子部品の需要拡大を背景に、製造現場の自動化投資が自動車から電子へシフトしたことを示唆する。本紙が既報の通り、IFRは2024年の年間設置台数が54万2076台で前年比0.1%増と横ばいだったと報告している。2021年の急増は、パンデミックで停滞した需要の反動と、電子産業を中心とした自動化需要の高まりが重なった結果とみられる。 地域別では、アジア・オーストラリアが世界全体の約73%を占め、成長の中心であることが改めて確認された。これは、中国をはじめとするアジアの製造業が自動化投資を積極化していることを反映している。一方、欧州は15%増と他地域に比べて伸び率は低いが、それでも二桁成長を達成しており、自動化の基調は堅調だ。 業界別の内訳を構成比で見ると、電子産業が全体の約27%(13万2000台/48万6800台)、自動車産業が約22%(10万9000台/48万6800台)を占める。両者で約半分を占めるが、電子産業の伸びが自動車を上回ったことで、ロボット需要のけん引役が変化しつつある。これは、EVシフトや半導体需要の構造変化がロボット市場の顧客構成を変えている可能性を示す。 今後の焦点は、この成長が持続するかどうかだ。2021年の記録はパンデミック後の反動を含むため、2022年以降の需要が一巡した後の動向を注視する必要がある。また、電子産業の需要が一過性か、構造的なものかも重要な論点となる。IFRの発表は予備値であり、最終値の修正も確認すべきだろう。
なぜ重要か
産業用ロボットの世界出荷が過去最高を記録したことは、製造業の自動化投資がパンデミックを乗り越え、構造的な成長軌道にあることを示す。特に電子産業が最大顧客となったことは、ロボット需要のけん引役が自動車からハイテク産業へ移行しつつあることを意味し、今後の市場構造を占う上で重要な転換点となる。
日本への影響
日本の産業用ロボット市場は、自動車産業の比率が高いことで知られる。今回の発表で電子産業が最大顧客となったことは、日本のロボットメーカーにとって、電子産業向けの需要を取り込む戦略が重要性を増すことを示唆する。また、アジア地域の成長が顕著であることから、日本企業のアジア展開の動向も注視される。