何が起きたか

国際ロボット連盟(IFR)は2025年10月22日、2024年の世界の年次ロボット設置台数が54万2076台で、2023年比0.1%増の横ばいだったと発表した。稼働台数(オペレーショナルストック)も増加した。世界経済の弱さや欧州の投資停滞が続く中、中国とロボット分野に回復の兆しが見えるとしている。

本紙の見方

今回のIFRの発表は、2024年のロボット市場が前年比0.1%増の54万2076台と横ばいだったことを示す。これは、世界経済の弱さと欧州の投資停滞を反映した数字であり、2023年の400万台稼働という過去最高のストックを背景に、新規設置が頭打ちとなったことを意味する。一方で、中国とロボット分野に回復の兆しが見えるという指摘は、地域別の明暗を浮き彫りにする。 本紙の過去報道では、2024年9月に世界の工場で稼働するロボットが400万台に達したとIFRが発表したことを報じた。今回の54万2076台という新規設置数は、そのストックを積み上げるペースが鈍化したことを示す。また、2024年5月の米国の設置台数速報(4万4303台、前年比12%増)と比較すると、米国は堅調だったが、世界全体では欧州の低迷が響いたとみられる。 業界構造への含意として、AIとソフトウェア主導の自動化が中小企業にも普及し始めた点は重要だ。従来のロボット導入は大企業中心だったが、ソフトウェアによる柔軟性向上が、これまで自動化されていなかった分野への導入を可能にしつつある。これは、ロボットの価値創造の場がハードウェアからソフトウェアへ移行する兆候であり、IFRが2026年2月に分析したVLAM(視覚・言語・行動モデル)の議論とも接続する。 未確定の論点としては、中国の回復の兆しが具体的にどの程度の設置台数増加を伴うのか、また欧州の投資低迷がいつ回復するのかが挙げられる。IFRは今回、地域別の詳細な数字を公表していないため、今後の統計で明らかになるだろう。

なぜ重要か

ロボット設置台数の横ばいは、世界経済の不確実性を反映する一方、AIとソフトウェアによる自動化の裾野拡大は、中小企業を含む新たな需要層の開拓を示唆する。ロボット産業の成長はハードウェアの量からソフトウェアの価値へと軸足を移しつつあり、今後の市場構造の変化を見極めるうえで重要な指標となる。