何が起きたか
Vesomaは2026年9月22日、ヒューマノイドロボット「Vesoma 1」を公開した。主ソースによると、Vesoma 1は身長170cm、体重75kgで、物流、製造、倉庫環境での物理作業を想定している。26の自由度を持ち、両手の12自由度と10本の指を含む。最高速度は4km/h、把持力は5kgとされる。
詳細
Vesomaの公式発表では、同社は2025年12月に登録して事業を始め、現在までに60人超へ拡大し、ミュンヘンとリマソルで計3,500平方メートル超の研究所・オフィスを整備したとしている。さらに、最初のヒューマノイド試作機を設計・製作・歩行させたと説明し、ソフトウェア、AI、Vesoma 1の開発を進めているという。 同社はVesoma 1について、試行錯誤を通じて作業を学ぶ「Physical General Intelligence」を掲げ、模倣だけに依存せず、物理環境との直接的な相互作用から行動を形成するとしている。Humanoid.Guideは同機をSkill Score 3、navigation 1/5、manipulation 2/5と評価し、回避動作、仕分け、組み立てを想定機能として挙げた。
Key Facts
| Vesomaは2026年9月22日、「Introducing Vesoma」を公開した。 | [1] |
| 同社は2025年12月に登録して事業を開始し、60人超に拡大したと説明した。 | [1] |
| ミュンヘンとリマソルで3,500平方メートル超のラボとオフィスを整備したとした。 | [1] |
| 「Vesoma 1」は身長170cm、体重75kg、26自由度で、両手の12自由度と10本の指を含む。 | [3] |
| Humanoid.GuideはVesoma 1のSkill Scoreを3、navigationを1/5、manipulationを2/5とした。 | [3] |
本紙の見方
Vesoma 1の新規性は、単なるヒューマノイドの試作公開ではなく、同社が「自分の経験から物理作業を学ぶ」方式を前面に置いた点にある。170cm、75kg、26自由度という機体仕様は、物流・製造・倉庫を意識した人型フォームを示す一方、公式発表ではまだ「ソフトウェア、AI、Vesoma 1」を同時に磨いている段階であり、製品完成というより学習ループの立ち上げに近い。つまり、公開されたのは完成品ではなく、身体・制御・学習を同時に開発するための土台だと読める。 本紙の関連記事である「Boston Dynamics、Stretchの耐久試験を紹介 ケーブルは数百万回の動作に耐える設計」は、実環境の長期劣化を短時間で再現し、保守計画までつなげる考え方を示していた。これに対しVesomaは、耐久試験そのものではなく、試行錯誤で学習する機体側の設計思想を前に出している。両者を並べると、フィジカルAIでは「長く動くこと」と「動きながら学ぶこと」が別の課題として残っていることが見える。Vesomaは後者に重心を置くが、前者をどこまで満たせるかはまだ見えない。 業界構造への含意は三つある。第一に、Vesomaは人型を「作業環境に合わせる道具」ではなく「学習対象としての身体」として扱っており、機体設計と学習方法を切り離していない。第二に、ミュンヘンとリマソルで3,500平方メートル超を使う体制は、ソフトウェア企業というより、現物の反復試験を回すハードウェア企業のスケール感に近い。第三に、Humanoid.Guideの評価が示す通り、公開時点では移動・操作の成熟度はなお初期段階であり、実運用に必要な連続作業時間、障害物回避の安定性、把持の再現性が次の焦点になるとみられる。加えて、同社が言う「Physical General Intelligence」がどの程度の作業条件まで一般化するかは、今後の確認点である。 本紙としては、次に見るべきなのはVesoma 1の量産計画ではなく、どの程度の作業で、どのくらいの失敗率で、どの条件まで自律学習を維持できるかである。公開情報はまだ、物流・製造・倉庫向けの人型機体としての入口を示した段階にとどまる。
なぜ重要か
Vesomaが示したのは、ヒューマノイドを「人の形をした機械」ではなく「作業しながら学ぶ物理エージェント」として設計する考え方である。公式発表では、同社は機体と知能を一体で作る方針を取り、経験データが各展開に反映されるとしているため、実運用では学習データの扱いと機体の更新方法が焦点になる。
日本への影響
日本の製造・物流・倉庫向けロボットでは、長時間の安定稼働と現場適応が重視されるため、Vesomaが前面に出した「機体そのものを学習に耐えるよう設計する」方針は、制御や安全設計の競争軸を示す可能性がある。もっとも、公開情報に量産台数や導入先はなく、日本企業への直接的な影響はまだ読み切れない。