何が起きたか
QBit Semiconductor(TWO:7913)は2026年9月17日、SEMICON Taiwan 2026で、フィジカルAI制御の機会をターゲットにしたロボットおよびドローン向けチップセットのロードマップを発表した。中核はロボットの「小脳」制御機能を統合したQB88XXシリーズで、20自由度を超える巧緻ロボットハンドに向けたスペースと電力の制約への対応をうたう。ドローン事業では、2026年~2028年のQB77XX投入と、2029年以降のQB88XX投入という2段階戦略を示した。
詳細
QB88XXシリーズは、小脳モデル関節制御器(CMAC)アーキテクチャに基づき、Arm Cortex-A78クアッドコアプロセッサとNPUを組み合わせて脳からの指令を実行するとしている。さらにArm Cortex-M7、TGEN、セカンダリNPUを組み合わせてモーターのサーボ制御を行い、最大32台のモーターとAIサーボチューニングに対応する。ロボットアームや産業用オートメーション向けに、PCIe、USB、CANバス、カメラインターフェースを統合している。 ドローン向けのフェーズ1では、QB77XXが最大32GBのLPDDR5/5X、PCIe、USB 3.2、GbEに対応し、TGENとCortex-M33を搭載してリアルタイムの飛行制御を実現するとしている。フェーズ2では、飛行制御とミッションコンピューティングを単一チップに統合し、オプティカルフロー制御とターゲット追跡機能を備えたQB88XX SoCを投入する計画だとしている。
Key Facts
| QBit Semiconductorは2026年9月17日、SEMICON Taiwan 2026でロボットおよびドローン向けチップセットのロードマップを発表した。 | [1] |
| QB88XXシリーズは、ロボットの「小脳」制御機能を統合したSoCとして位置づけられている。 | [1] |
| QB88XXシリーズは、最大32台のモーターとAIサーボチューニングに対応するとしている。 | [1] |
| ドローン向けフェーズ1のQB77XXは、2026年~2028年に最大32GBのLPDDR5/5X、PCIe、USB 3.2、GbEに対応する計画だ。 | [1] |
| フェーズ2では、2029年以降に飛行制御とミッションコンピューティングを単一チップに統合したQB88XX SoCを投入する計画だ。 | [1] |
本紙の見方
今回の発表で新しいのは、ロボットとドローンを別々の制御機器としてではなく、同社のチップセット・ロードマップの中で連続した対象として並べた点である。QB88XXは、CMACアーキテクチャ、Arm Cortex-A78クアッドコア、NPU、Arm Cortex-M7、TGEN、セカンダリNPUを一つの設計に束ね、さらに最大32台のモーター制御まで含めている。つまり、単なる演算用SoCではなく、関節制御とサーボ制御をまとめて取り込む統合度が主眼だと読める。 一方で、ドローンの構想は段階的である。2026年~2028年のQB77XXは、最大32GBのLPDDR5/5X、PCIe、USB 3.2、GbE、Cortex-M33、TGENを備え、まず基盤となる飛行制御とミッションコンピューティングの分離・縮約を狙う。そのうえで2029年以降にQB88XXへ進み、オプティカルフロー制御とターゲット追跡を単一チップ化する構図であり、ロボット側の統合思想をドローンへ拡張する流れが見える。機能追加の順番が、制御の統合から知覚・追跡の統合へ移っている点が特徴である。 業界構造でみると、競争軸はGPU的な汎用計算ではなく、モーター制御、リアルタイム飛行制御、カメラ入力、バス接続、暗号化ブートまでをどこまで一体化できるかに移る可能性がある。とくにロボットでは20自由度超の巧緻ハンド、ドローンでは単一物体追跡の60km/h・10~15分テストが示されたが、これらは実機性能の一部に過ぎず、量産時の消費電力、発熱、歩留まり、ソフトウェアスタックの移植性が次の確認点になるとみられる。
なぜ重要か
QBit Semiconductorは、ロボットの関節制御とドローンの飛行制御を同じロードマップで扱い、SoC側に制御を寄せる方針を示した。発表元によれば、QB88XXは最大32台のモーター制御に対応し、QB77XXは最大32GBのLPDDR5/5Xに対応するため、設計の論点は演算性能だけでなく、制御・通信・メモリをどうまとめるかに移る。
日本への影響
日本では、ロボットの関節制御やドローンの飛行制御に関わる部品・実装・組み込み設計が、この種の統合SoCの採用条件に影響を受ける可能性がある。特に、PCIe、USB、CANバス、カメラインターフェースを一体化する設計が広がれば、周辺部品の構成や基板設計の前提が変わるため、国内の制御系機器メーカーや組み込み開発側は仕様の追随が焦点になりうる。