何が起きたか
LunaDriveは2026年9月18日、平板BLDCモーター向けの高電圧GaN FETベース・モータードライバー「LunaDrive」を公表した。96V動作で連続30A、ピーク80A、最大電気周波数3110Hzを確認したとしている。高速度域での遅延補償も検討し、LiPoバッテリー24S(100V)による負荷持ち上げ実験を行った。
詳細
主ソースによると、従来の48V以下を前提とする商用サーボモーターでは最大回転速度に制約があり、高出力の平板BLDCモーターに対しては、それを超える電圧での駆動が望ましいとしている。一方で、Si MOSFETを用いる従来ドライバーは高電圧・大電流の両立が難しく、GaN FETを使った小型ドライバーも、平板BLDCモーター背面への搭載例は限られているという。今回の発表では、こうした条件に対応するためのモータードライバーを開発し、高速域での遅延補償の効果も調べたとしている。
Key Facts
| LunaDriveは、平板BLDCモーター向けの高電圧GaN FETベース・モータードライバーを発表した。 | [1] |
| 96V動作で連続30Aを達成したとしている。 | [1] |
| ピーク電流80Aと最大電気周波数3110Hzを確認したとしている。 | [1] |
| LiPoバッテリー24S(100V)による高速度の負荷持ち上げ実験を実施した。 | [1] |
| 高速域での遅延補償の効果を検討した。 | [1] |
本紙の見方
今回の主眼は、単にGaN FETを使ったモータードライバーを示した点ではなく、96Vで連続30A、ピーク80A、最大電気周波数3110Hzという具体的な動作域を示した点にある。平板BLDCモーターは高出力化が進む一方、一般的な48V以下前提のサーボモーター設計では高速化に限界が出やすい。LunaDriveは、その制約に対して高電圧化と遅延補償を組み合わせ、電圧・電流・周波数の三つを同時に押し上げようとした構成だと読める。 本紙の関連記事はないが、公開情報だけで見ると、この発表は「高電圧化」の方向性と「小型実装」の両立をどこまで詰めたかが焦点である。Si MOSFETでは高電圧と大電流の両立が難しいという主張に対し、GaN FETを選んだ理由は明確だが、実装形態としては平板BLDCモーター背面に載せる前提が示されるだけで、放熱・配線・保護回路の全体設計はまだ見えない。96Vでヒートシンク付き連続30A、24Sバッテリーでの負荷持ち上げ実験という事実は、機上の比較ではなく実機評価に踏み込んだことを示す一方、実運用での持続時間や温度余裕は別問題である。 業界構造でみると、この成果はモーター本体の性能だけでなく、電力半導体、駆動回路、熱設計、制御遅延の接続点に効く。とりわけ遅延補償は、高速回転域での制御精度を左右するため、単なる高耐圧化よりも制御系との一体設計が重要になる可能性がある。逆に言えば、今後の論点は、96V・30A級の条件がどの程度の時間・負荷条件で維持できるのか、ピーク80Aがどの局面で使われるのか、そして平板BLDCモーター背面への搭載を前提にした小型化が量産レベルの実装に耐えるのか、という点に移るとみられる。
なぜ重要か
LunaDriveが示したのは、平板BLDCモーターを48V以下の前提から切り離し、96V・30A級の条件で使うための駆動回路の一例である。高電圧・大電流・高速制御を同時に扱う設計は、ロボットの機体側では放熱や電源設計、制御側では遅延補償の精度が課題になるため、実装条件がそのまま採用条件になる。
日本への影響
日本では、産業用ロボットや移動体のモーター制御で、電力半導体・放熱部材・制御ICをどう組み合わせるかが競争力の分岐点になりやすい。この発表は、GaN FETと高電圧駆動を組み合わせることで、モーター本体だけでなく駆動回路側の部材設計が重要になることを示している。