何が起きたか

LiberAIは2026年11月3日、220万時間超の人間の経験を事前学習に使った世界行動モデル「Liber-0」を発表した。同社が示した評価では、GPT-6が提案した60種類のロボット操作タスクを各10回、計600回試行し、全体の成功率は36.0%だった。評価対象のタスク向けに収集したロボット実演データを使わずに実行したとしている。

詳細

評価の成功率は、ピック・アンド・プレース20タスクで63.5%、その他の操作20タスクで34.0%、ピック・アンド・プレース以外の難度の高い長期タスク20種類で10.5%だった。同社はこれをタスク単位のゼロショット汎化と呼ぶ。ただし、モデルは事前学習段階でロボットデータを使っており、評価タスク専用のロボット実演データを使わなかったという意味である。 Liber-0は人間の動画と、同社のデータ収集システム「LiberSense Glove」で記録した手の姿勢・軌跡を結びつけ、将来の映像と動作を共同で予測する。ロボット基盤「LEO」は器用な手、関節のある手首と腰、人間のデータ収集に合わせたカメラ構成を備える。同社は、身体寸法や関節の動きを伝える「Unified Embodiment Representation」も用いるとしている。

Key Facts

LiberAIは2026年11月3日に世界行動モデル「Liber-0」を発表した。[1]
モデルは人間の経験220万時間超で学習した。[1]
GPT-6が提案した60タスク、計600試行の評価で全体成功率36.0%を記録した。[1]
タスク群別の成功率は、ピック・アンド・プレース63.5%、その他の操作34.0%、難度の高い非ピック・アンド・プレースおよび長期タスク10.5%だった。[1]
Liber-0はLiberSense Gloveによる手の姿勢・軌跡の記録と、人間の動画を組み合わせる。[1]

本紙の見方

この発表の軸は、人間の動画を大量に集めることだけでなく、手の動きを計測したデータとロボットの身体表現を同じ学習経路に置いた点にある。人間の映像には物体の扱い方が含まれる一方、ロボットが実行する関節動作は直接記録されない。LiberAIはLiberSense Gloveの姿勢・軌跡を動作の手掛かりにし、LEOの身体構成や関節情報を合わせることで、この隔たりを埋めようとしている。これは、人間の経験をそのまま模倣させるというより、ロボットの実行可能な動作へ対応づける設計と読める。 同社の比較実験では、単一のデータ源で事前学習し、同じロボット学習を後段に置いた条件で、手袋による1万時間の記録がウェブ上の人間動画200万時間を、ピック・アンド・プレースとそれ以外の操作ベンチマークの双方で上回ったという。時間数の大きさだけでは学習上の価値を測れず、動作との対応がデータの効き方を左右する可能性を示す。ただし、この比較から他のロボットや環境でも同じ結果になるとは言えず、評価条件の範囲を踏まえる必要がある。 また、60タスク評価の全体成功率36.0%に対し、長期タスク群は10.5%にとどまった。成功率の高い単純な物体移動と、複数段階を要する操作との間に差が残る。人間経験の活用が、どの種類の作業に有効かを見極めるうえで、この差は重要だ。本紙は以前、LiberAIがRoboDojoで首位と報じたが、ベンチマーク上の順位と今回の操作成功率は別の評価であり、直接の優劣比較はできない。 産業構造への含意は、学習データの供給がロボット実演だけに依存しない可能性と、そのために必要な計測・身体情報の整備が一体化している点にある。人間の動画を広げても動作ラベルが不足すれば実行への変換が難しく、計測データを足しても身体の違いを扱えなければ転移に限界がある。次に確認すべきなのは、発表された成功率が異なるロボット本体や実環境で再現されるか、長期タスクの性能がどう変わるか、そして学習データの構成やモデル規模がどこまで開示されるかだ。今回の発表にはモデル規模や学習計算量の数値は示されていない。

なぜ重要か

LiberAIの評価では、タスク専用のロボット実演を使わずに60種類の操作を試した一方、モデルは事前学習でロボットデータを使っている。人間の経験をロボット動作に転用する方式が、タスクごとの実演収集をどこまで補えるかが焦点となるが、長期タスク群の成功率は10.5%であり、適用範囲には課題が残る。