何が起きたか
米国防高等研究計画局(DARPA)は2016年2月12日、高速軽量自律航空機(FLA)プログラムの初回飛行データ収集を完了したと発表した。マサチューセッツ州ケープコッドのオーティス空軍州兵基地の格納庫で実施され、目標速度である毎秒20メートル(時速45マイル)を達成した。また、低速ながら人間の操作なしに障害物を「見て」回避する初期の自律飛行能力も実証された。
詳細
FLAプログラムは、無人航空機(UAV)が障害物の多い環境での航法などの低レベルタスクを実行するために必要な処理能力、通信、人間の介入を削減するアルゴリズムの開発・テストを目的とする。プログラムでは、開いた窓を通り抜けられる大きさで、GPSや外部オペレーターとの通信に依存せず、複雑な屋内空間を毎秒20メートルで飛行できる自律UAVの開発を目指す。初回飛行データ収集では、3つの研究チームが使用する共通クアッドコプターUAVプラットフォームが検証された。このプラットフォームは、市販のDJI Flamewheel 450機体、E600モーター(12インチプロペラ)、3DR Pixhawkオートパイロットを使用し、高精細オンボードカメラ、LIDAR、ソナー、慣性計測ユニットなどのセンサーを搭載して目標速度を達成できることが確認された。3つのチームは、Draper(マサチューセッツ工科大学と連携)、ペンシルベニア大学、Scientific Systems Company, Inc.(SSCI、AeroVironmentと連携)。テストは格納庫を倉庫環境に改造し、模擬壁や箱などの障害物を配置して実施された。テスト中には複数のクラッシュも発生したが、DARPAのプログラムマネージャーであるMark Micire氏は「ハードな目標を達成する唯一の方法は、物理システムとソフトウェアを限界まで押し上げることだ」と述べ、今後の飛行失敗を予想している。
Key Facts
| DARPAは2016年2月12日、FLAプログラムの初回飛行データ収集を完了したと発表した。 | 出典一覧 |
| テストはマサチューセッツ州ケープコッドのオーティス空軍州兵基地の格納庫で実施され、目標速度20m/sを達成した。 | 出典一覧 |
| 共通プラットフォームはDJI Flamewheel 450機体、E600モーター、3DR Pixhawkオートパイロットを使用する。 | 出典一覧 |
| 3つのチームはDraper(MITと連携)、ペンシルベニア大学、SSCI(AeroVironmentと連携)。 | 出典一覧 |
| プログラムはGPSや外部通信に依存せず、開いた窓を通り抜けられる大きさのUAVで20m/sの飛行を目指す。 | 出典一覧 |
本紙の見方
今回の発表は、DARPAのFLAプログラムが初期段階を順調に通過したことを示す。注目すべきは、目標速度20m/sの達成と、低速ながら自律回避の初期実証が「予定より早く」行われた点だ。これは、アルゴリズムとオンボード計算効率の進展が期待以上であることを示唆する。 本プログラムの核心は、小型・軽量・低消費電力の機体に限られた計算資源で、複雑な屋内環境を完全自律で飛行させる「スイートスポット」を見つけることにある。DARPAのMark Micire氏も述べるように、既存の小型UAVは高速飛行できるがセンサーや計算機を搭載できず、大型UAVは重いペイロードを搭載できるが小型ではない。FLAはその中間を狙う。 この技術は、軍事作戦における屋内偵察や災害救助での建物内部の状況把握に応用できる。遠隔操縦では見えない不安定な建物内部への物理的進入のリスクを軽減できる可能性がある。また、GPSが使えない環境での運用も視野に入れており、地上・海洋・水中システムへの応用も可能とされる。 今後の焦点は、アルゴリズムの高度化とオンボード計算効率の向上により、知覚範囲を拡大し、機体の質量を補償して高速での急旋回や急停止を実現できるかどうかだ。テスト環境は段階的に複雑化され、より現実的な障害物が追加される予定である。 未確定の論点としては、各チームの具体的なアルゴリズムの詳細や、最終的な実用化の時期は明らかにされていない。また、今回のテストで発生したクラッシュの具体的な原因や、今後のスケジュールも公表されていない。
なぜ重要か
DARPAのFLAプログラムは、GPSや遠隔操作に依存しない完全自律型の小型UAVの実現に向けた重要な一歩であり、軍事偵察や災害救助の現場に変革をもたらす可能性がある。今回の初回飛行データ収集の成功は、その実現可能性を裏付けるものであり、今後の技術開発の進展が注目される。