何が起きたか

DARPAは2021年3月18日、空戦自律化プログラム「ACE」がフェーズ1の折り返しを迎え、仮想環境でのAIドッグファイトが2対1のチーミングに進展したと発表した。フェーズ2の実機亜音速試験は2021年末に予定され、フェーズ3ではCalspanが改造するL-39ジェット練習機をAIが操縦する。

詳細

ACEプログラムは、人間と機械の協調ドッグファイトを課題として、信頼できる拡張可能な人間レベルのAI自律性を開発することを目指す。2020年8月にはジョンズ・ホプキンス大学応用物理研究所(APL)がAlphaDogfightトライアルを実施し、8チームのAIがシミュレートされたF-16で1対1のドッグファイトを行い、優勝AIは経験豊富なF-16パイロットに5対0で勝利した。2021年2月にはAPLでスクリメージ1が行われ、2機の僚機が敵機1機と戦う2対1のシミュレーションに成功した。また、アイオワ大学技術研究所のオペレーターパフォーマンス研究所では、L-29ジェット練習機にセンサーを搭載し、パイロットの生理的反応からAIへの信頼度を測定している。フェーズ3では、CalspanがL-39の空力性能モデルを作成し、AIが機体制御を引き継ぐための改造を行う。

Key Facts

DARPAは2021年3月18日、ACEプログラムがフェーズ1の折り返しを迎え、仮想AIドッグファイトが2対1のチーミングに進展したと発表した。[1]
2020年8月、ジョンズ・ホプキンス大学応用物理研究所(APL)がAlphaDogfightトライアルを実施し、優勝AIは経験豊富なF-16パイロットに5対0で勝利した。[1]
2021年2月、APLでスクリメージ1が行われ、2機の僚機が敵機1機と戦う2対1のシミュレーションに成功した。[1]
アイオワ大学技術研究所のオペレーターパフォーマンス研究所では、L-29ジェット練習機にセンサーを搭載し、パイロットのAIへの信頼度を測定している。[1]
ACEプログラムのフェーズ3では、CalspanがL-39ジェット練習機をAIが操縦できるよう改造し、2023年後半から2024年にかけて実機でのチームドッグファイトを実施する予定。[1]

本紙の見方

今回の発表は、ACEプログラムが単なるシミュレーション上のAI格闘技から、実機での運用を見据えた段階に移行しつつあることを示す。特に注目すべきは、2対1のチーミングという要素だ。AlphaDogfightトライアルの1対1から、複数機が連携するシナリオへと進んだことで、AIエージェントが味方機との協調や、誤射防止のための射線制限を考慮する必要が生じた。これは、実戦での運用を想定した場合に必須の能力であり、単なる機動性能の向上ではなく、戦術判断の自律化に向けた一歩と位置づけられる。 本紙が過去に報じたDARPAの関連プログラムと比較すると、ACEはALIASプログラムの延長線上にある。ALIASは既存航空機に後付け可能な自動化キットを開発し、2022年にはブラックホークでの無人飛行試験に成功した。ACEはその技術を戦闘機動に応用し、さらにAIが戦術判断を行う点で一歩進んでいる。また、VENOM計画ではF-16をAI制御で飛行させたが、ACEはより複雑なドッグファイトという高負荷な状況でのAI信頼性を追求している。 業界構造への含意としては、ACEプログラムが育成するAIパイロット技術は、将来の無人戦闘機や有人機と無人機の協調運用に直結する。DARPAの研究が民生市場を生み出してきた歴史を踏まえると、この技術は軍事用途に留まらず、民間の自律飛行システムやドローン制御にも波及する可能性がある。特に、パイロットの信頼度を生理的指標で測定する手法は、自動運転車のドライバーモニタリングにも応用可能だ。 未確定の論点としては、フェーズ2の実機試験でAIが実際にどの程度の性能を発揮するか、またフェーズ3のL-39での有人機とのチームドッグファイトで、AIが人間のパイロットとどの程度協調できるかが焦点となる。さらに、AIの判断に対する法的・倫理的な枠組みも、今後の議論が必要だろう。

なぜ重要か

ACEプログラムの進展は、空戦におけるAIの役割を単なる支援から自律的な戦術実行へと変える可能性を示している。これは軍事作戦のあり方を変えるだけでなく、AIへの信頼を測定・構築する手法が、他の自律システム分野にも応用される基盤となる。

日本への影響

日本は防衛装備品の開発において、米国との協力を進めている。ACEプログラムの技術は、将来の無人戦闘機や有人機との協調運用に応用される可能性があり、日本の次期戦闘機開発にも影響を与えるとみられる。特に、AIの信頼性評価手法は、日本の自律型防衛システムの開発にも参考になるだろう。