何が起きたか

ZOZO NEXTとAVITAは2026年10月15日、ヒューマノイドロボットに特化した衣服に関する共同研究に向けた基本合意書(MOU)を締結した。研究開始は2027年1月を目指すとしている。両社は、ZOZO NEXTの素材技術や縫製・パターン設計・計測の知見、ファッションに関するデータと、AVITAのロボット実機・動作データや人とロボットの関わり方に関する研究知見を組み合わせる。

詳細

AVITAの発表によると、共同研究のテーマは「ヒューマノイドに特化したテキスタイル・衣服に関する共同研究」である。ZOZO NEXTは、温度に応じて色が変化する織物「Ambient Weaving」や、織物技術と圧電性フィルムを組み合わせた展示「紋響」などの知見を持つとされ、AVITAはアバター接客サービス「AVACOM」やフィジカルAIの社会実装で蓄積した知見を提供するとしている。 研究で想定する衣服の役割として、周囲に意図を伝えることや人との接触を感知する機能が挙げられている。両社は、ヒューマノイドの動きや構造などの特性に適した素材・衣服の設計手法の確立を目指すとしている。

Key Facts

ZOZO NEXTとAVITAは2026年10月15日に、ヒューマノイドに特化した衣服に関する共同研究に向けたMOUを締結した。[2]
共同研究開始は2027年1月を目指す。[2]
ZOZO NEXTは素材技術、縫製、パターン設計、計測の知見とファッションに関するデータを提供するとしている。[2]
AVITAはロボットの実機・動作データと、人とロボットの関わり方に関する研究知見を提供するとしている。[2]
研究テーマは、ヒューマノイドに特化したテキスタイル・衣服に関する共同研究である。[2]

本紙の見方

今回の発表で新しいのは、ヒューマノイドを「着せる」対象として扱い、素材・縫製・計測とロボット実機データを同じ研究枠に入れた点である。単なる衣服開発ではなく、動作や発熱、接触感知まで含めて設計手法を作る構えで、ファッション研究とフィジカルAI研究の接点を具体化した。研究開始が2027年1月目標であるため、現時点では事業化より前の設計基盤づくりの段階にある。 本紙の関連記事である AVITA、Human-In-The-Loop型フィジカルAIの提供開始 遠隔操作と自律制御を組み合わせ と比べると、AVITAは遠隔操作と自律制御の組み合わせから、今度は外装や装着物まで含めた周辺設計へと射程を広げている。さらに Osaka Metro、ヒューマノイド案内の実証開始 では接客案内、 AVITAとダイセル、四足歩行ロボットによる工場巡回・設備点検の共同実証を2026年12月に開始 では工場点検と、AVITAの実証領域は用途別に広がっている。衣服研究はその延長線上にあるが、今回は「人と接する機能」を衣服側に持たせる点が異なる。 業界構造でみると、論点はロボット本体の性能だけではない。関節の動き、外装、発熱に加え、着崩れやずれを自力で直せないという制約があるため、衣服は単なる付属品ではなく、接客や介護での運用設計の一部になる。ZOZO NEXTの強みはファッションのデータとパターン設計にあり、AVITAの強みはロボットの動作データにあるため、入力側の素材知見から、実機の動作条件、着用時の接触や意図表示、現場での運用までをつなぐ構造が見える。一方で、どの素材を使うのか、衣服の評価指標をどう置くのか、量産を想定するのかはまだ示されていない。 今後の確認点は、研究テーマの具体化、試作の有無、対象とするヒューマノイドの仕様、衣服に持たせる機能、そして実証の場がどこに置かれるかである。現段階ではMOU締結と研究開始時期の目標しか示されておらず、成果の定義はまだこれから詰める段階だとみられる。

なぜ重要か

AVITAが扱うヒューマノイドやフィジカルAIは、動作制御だけでなく、衣服のような外装要素まで含めて現場適合を考える段階に入ったことを示す。発表では、接触感知や意図表示といった機能を衣服に持たせる想定を示しており、接客や介護のような人との近接場面での運用条件が焦点になる。

日本への影響

日本では、ZOZO NEXTが持つファッションデータや縫製・パターン設計の知見が、ヒューマノイド向け衣服の設計に接続される余地がある。AVITA側が示すように、ロボットが人と接する前提では、外装や装着物も運用設計の一部になるため、国内の繊維・縫製関連の知見がどこまで生かせるかが論点になる。