何が起きたか

WHILLは2026年10月27日、東京都の「SusHi Tech Global 成長加速プログラム(第2期)」に採択されたと発表した。2026年9月に本格運用を始めたシンガポール・チャンギ国際空港での知見を基に、自動運転サービスのモデルを標準化し、世界各国の大型施設への展開を進める。

詳細

プログラムで取り組む項目は、サービスのグローバル標準モデル確立、空港・病院・商業施設などへの展開、ソフトウェアとハードウェア両面の機能強化、グローバルな知的財産網の強化の4点。WHILLによると、サービス提供拠点は空港を中心に世界約30拠点に広がり、累計利用回数は100万回を突破した。いずれも同社調べで2026年10月時点の数値である。 同社の海外売上比率は約80%。プログラムの一環として、WHILLは2026年10月27〜29日にシンガポールで開かれる「SWITCH」に出展し、自動運転サービスの展示とデモンストレーションを行う。

Key Facts

WHILLは東京都の「SusHi Tech Global 成長加速プログラム(第2期)」に採択されたと発表した。[1]
チャンギ国際空港では2026年9月にWHILL自動運転サービスの本格運用が始まった。[1]
同社はプログラムで、グローバル標準モデルの確立、施設への展開、ソフトウェア・ハードウェアの機能強化、知的財産網の強化に取り組む。[1]
WHILLによると、サービス提供拠点は世界約30拠点、累計利用回数は100万回を突破した。数値は同社調べで2026年10月時点。[1]
WHILLの海外売上比率は約80%。[1]

本紙の見方

WHILLの発表で軸となるのは、単一施設への導入ではなく、チャンギ空港での運用知見を標準モデルにまとめ、他施設へ展開する方針である。世界約30拠点、累計利用100万回超という同社の実績はサービスが複数の場所で運用されていることを示す一方、標準化の具体的な手順や、各施設で共通化する機能の範囲までは発表文から分からない。約80%という海外売上比率も、海外展開が同社事業に占める位置を示す数値だが、サービス単体の売上や収益性を示すものではない。 本紙が8月25日に報じたWHILL、羽田第1ターミナル北側サテライトまで拡大では、羽田空港での運用エリア拡大と、他社製自動走行ロボットへの協調群管理の仕組みの拡張を扱った。そこでは同一空港内での対象範囲と機体管理が焦点だった。今回の発表は、チャンギ空港の知見を別の空港や病院、商業施設でも使えるサービスモデルへ整理する方向を示す。個別拠点での運用拡大から、施設をまたぐ再現性の確保へと課題の置き方が広がったと読めるが、羽田での協調群管理が今回の標準モデルに含まれるとは発表されていない。 構造面では、車いす型モビリティのハードウェアだけでなく、遠隔で機体の状況を確認する機体管理システムや、施設での運用知見を組み合わせてサービスを成立させる点が重要になる。WHILLはソフトウェアとハードウェア双方の機能強化を掲げており、施設ごとの運用条件に対応しながら共通化できる範囲をどこまで広げるかが、標準モデルの実効性を左右するとみられる。また、知的財産網の強化を同じ計画に置くことは、運用モデルの展開と権利保護を並行して進める構成を示す。ただし、対象となる技術や権利の内容は明らかにされていない。 WHILLは、歩行に困難や不安を抱える旅客向けの移動支援需要に対し、航空業界の人手不足や待ち時間、スタッフの身体的負担を課題として挙げる。したがって、今後確認すべきなのは拠点数の増加だけではない。チャンギで得た知見のうち何が他施設に移植可能なのか、施設ごとの運用体制や機体管理をどう標準化するのか、機能強化がどの課題に対応するのかが焦点となる。発表は展開方針を示すが、施設別の導入条件、運用実績の内訳、知的財産網の具体策までは示していない。

なぜ重要か

WHILLは、歩行に困難や不安を抱える旅客の移動支援について、需要増に伴う待ち時間の長期化やスタッフの身体的負担を課題として挙げている。チャンギ空港での知見を標準モデル化し、空港以外の病院や商業施設にも展開する方針は、施設ごとの運用をどこまで共通化できるかが、サービス拡大の条件になることを示している。