何が起きたか
Wandercraftは2023年1月23日、脳卒中リハビリ用の自己平衡型外骨格「Atalante」について米国FDAの510(k)認可を取得したと発表した。同社は2022年に330人以上の患者を治療し、12台の外骨格を新規配備した。米国での商業展開を開始し、2023年第1四半期に最初の納入を予定している。
詳細
Atalanteは2019年にCEマークを取得済みで、欧州の複数のリハビリ病院で使用されてきた。自己平衡機能により、患者は補助具なしで両手を使わずに多方向へ移動でき、市場に他にない動的バランスモードを備える。2020年以降、臨床現場に22台、研究現場に5台を配備。2022年は12台を新規配備し、330人以上の患者を治療した。米国ではニューヨークに法人オフィスを開設し、CEOのMatthieu Masselinが率いる。
Key Facts
| Wandercraftは2023年1月23日、脳卒中リハビリ用外骨格「Atalante」が米国FDAの510(k)認可を取得したと発表した。 | [1] |
| Atalanteは2019年にCEマークを取得し、欧州の複数のリハビリ病院で使用されてきた。 | [1] |
| 2022年には330人以上の患者を治療し、12台の外骨格を新規配備した。 | [1] |
| 米国での商業展開を開始し、2023年第1四半期に最初の納入を予定している。 | [1] |
| Wandercraftは2012年設立で、自律歩行外骨格を開発している。 | [1] |
本紙の見方
今回のFDA認可は、Wandercraftにとって米国市場への本格参入を意味する。同社は2023年1月23日に発表したが、これは2026年8月に家庭用外骨格「Eve」がFDA認可を取得する約3年半前の出来事であり、医療用から個人用への展開の起点となった。本紙が既報の通り、Wandercraft、自己平衡型パーソナル外骨格「Eve」がFDA認可を取得 家庭での個人使用が可能に(2026年8月11日)で、Eveは脊髄損傷者向けとして家庭での個人使用が可能な初のFDA認可とされる。今回のAtalanteは脳卒中リハビリ向けで、臨床現場での使用が前提であり、対象患者と使用環境が異なる。しかし、自己平衡技術という中核は共通しており、今回の認可で得た米国での臨床データと販売網が、後のEveの商業化に活かされたとみられる。 また、本紙はWandercraft、シリーズDで75百万ドル調達 外骨格と人型ロボットの展開加速へ(2025年6月11日)で、シリーズDで75百万ドルを調達し、Eveの商業化や人型ロボット「Calvin-40」の開発に充てると報じた。今回のAtalanteのFDA認可は、その後の資金調達や製品展開の基盤となる実績であり、投資家にとっては技術の信頼性を示す材料となった。 競合の観点では、Ekso Bionicsが脳卒中リハビリ用外骨格「EksoNR」をFDA認可済みで、米国市場で先行している。WandercraftのAtalanteは自己平衡機能によるハンズフリー移動が特徴で、上肢に障害がある患者でも使用できる点が差別化要素となる。ただし、価格や治療効果の比較データは公開情報では確認できず、今後の臨床成績が競争力を左右する。 業界構造への含意として、外骨格市場は医療用から個人用へと拡大しつつある。今回の認可は、米国での商業展開の第一歩であり、2022年の12台配備という実績は、同社の成長を示す。しかし、米国市場でのシェア拡大には、保険適用や病院への営業体制が課題となる。 今後確認すべき点は、①Atalanteの米国での販売価格と保険適用の状況、②脳卒中患者の治療効果に関する臨床データの蓄積、③Eveの家庭用展開とのシナジーが実際に生まれるか、の3点である。
なぜ重要か
この認可は、Wandercraftが米国市場で商業展開を開始する転機であり、同社のその後の資金調達や製品ライン拡大の基盤となった。脳卒中リハビリの現場に自己平衡型外骨格という新たな選択肢が加わることで、患者の回復過程に変化が生じる可能性がある。