何が起きたか

楽天グループが自動運転分野への本格参入を模索している。楽天モバイルは2025年6月、総務省の「地域社会DX推進パッケージ事業(自動運転レベル4検証タイプ)」に採択され、佐賀市交通局、建設技術研究所、沖電気工業、先進モビリティ、東海理化、佐賀市と連携し、佐賀市内で自動運転バスの実証を行った。実証では、無信号交差点での右折制御、通信輻輳時の情報伝送、トンネル区間などでの通信品質確保の3項目を検証した。

本紙の見方

楽天グループが自動運転分野への参入を模索している。今回の動きは、モバイル事業者としての通信インフラを生かした実証であり、EC・フィンテック中心の事業ポートフォリオに新たな柱を加える可能性を示す。 本紙の過去報道では、KDDIが自動運転向けAI通信品質最適化の実証を実施(2026年8月28日)し、ソフトバンクもHAPS試験サービスを2026年夏に実施するなど、通信事業者が自動運転の通信基盤に関与する動きが相次いでいる。楽天モバイルの今回の実証は、こうした流れに沿うものであり、通信事業者としての役割を明確に打ち出した点で共通する。 一方、楽天グループはこれまで自動配送ロボットやドローン事業に注力してきたが、車道を走る自動運転車への関与は初めてとみられる。これは、EC事業者としての配送網の延長ではなく、モバイル事業者としての通信インフラを核にした新たな領域への進出と位置づけられる。 業界構造への含意として、自動運転の実用化には路側センサーや通信品質の確保が不可欠であり、通信事業者の役割が重要性を増している。楽天モバイルの実証は、通信品質の輻輳対策や不感地帯の解消といった課題に取り組むもので、自動運転の社会実装に向けた基盤整備の一環とみられる。 未確定の論点としては、今回の実証が将来の商用サービスにどう結びつくかが挙げられる。実証の結果や、楽天グループが自動運転分野にどの程度の投資を行うかは明らかになっていない。また、モバイル事業の黒字化が進む中で、自動運転分野への投資がグループ全体の収益に与える影響も注視が必要だ。

なぜ重要か

楽天グループが自動運転分野に参入することで、通信事業者と自動運転の連携がさらに進む可能性がある。モバイル事業の黒字化が見える中での投資判断は、グループの将来戦略を占う試金石となる。

日本への影響

楽天モバイルの実証は、佐賀市のような地方都市での自動運転バス実装に向けた通信基盤の整備に寄与する可能性がある。日本の通信事業者が自動運転の通信品質確保に積極的に関与することで、地域交通の維持・発展に貢献することが期待される。