何が起きたか

米配車大手Uberは、都内のタクシー会社である日の丸交通との提携を発表し、2026年後半をめどに東京でロボタクシーの試験運行を始める計画である。車両は日産自動車のEV「リーフ」をベースに、英Wayveが開発したAIドライバーを搭載する。運行主体は日の丸交通が担い、配車アプリはUber Japanが提供する。試験運行の段階では乗務員が安全のため同乗する計画で、いきなり無人のロボタクシーが走るわけではない。

本紙の見方

今回の提携は、Uberが日本の自動運転タクシー市場に参入するための現実的な選択とみられる。日本の道路運送法では、旅客運送サービスは一般乗用旅客自動車運送事業の許可を受けた事業者しか行えず、東京23区を含む137地域は準特定地域に指定され新規参入に制限がある。そのため、既に免許を持つ日の丸交通と組むことで、Uberは単独では得られない運行基盤を確保した。 本紙の過去報道では、トヨタが2028年にE2E自動運転車を量販車に搭載して市場投入する計画や、TuringがVLAモデルで日本初の公道リアルタイム自動運転を達成した事例を報じた。今回のUberの動きは、自動運転技術を持つ企業が日本市場に参入する際、既存のタクシー事業者との協業が一つの有力な経路であることを示す。ウェイモが日本交通と提携した事例と同様の構図であり、日本特有の規制環境がこうした協業を促している。 業界構造への含意として、Uberは配車プラットフォームを提供し、日の丸交通が運行主体となる役割分担は、自動運転タクシー事業におけるプラットフォーマーと運行事業者の分離を示す。また、車両に日産リーフとWayveのAIドライバーを採用することで、自動車メーカーとAI開発企業の連携も進む。 未確定の論点としては、試験運行の具体的な開始時期やエリア、車両台数、乗務員同乗の期間、本格展開の条件などが挙げられる。また、WayveのAIドライバーが日本の交通環境でどの程度の性能を発揮するかも今後の検証課題となる。

なぜ重要か

Uberが東京でロボタクシー試験運行を始めることは、日本の自動運転タクシー市場におけるプラットフォーマー参入の具体例となる。規制環境を踏まえたタクシー事業者との協業モデルは、他の自動運転企業にとっても参考になる。

日本への影響

日本の道路運送法の規制が、自動運転タクシー事業における既存タクシー事業者との協業を促す構造は、国内のタクシー業界にとって新たなビジネス機会となる可能性がある。一方で、日産リーフとWayveの組み合わせは、日本車と海外AI技術の連携を示す。