何が起きたか

On Holding AG(NYSE: ONON)は2026年3月3日、2025年第4四半期および通期の決算を発表した。通期の売上高は前年比30.0%増(恒常為替ベースで35.6%増)の30億1,400万スイスフランとなり、初めて30億スイスフランの大台を突破した。粗利益率は62.8%(前年60.6%)、調整後EBITDAマージンは18.8%(同16.7%)に改善し、過去最高の収益性を記録した。一方、純利益は15.9%減の2億370万スイスフラン(純利益率6.8%)に減少した。

詳細

2025年通期の売上高は、DTCチャネルが33.7%増の12億6,050万スイスフラン、卸売チャネルが27.5%増の17億5,340万スイスフラン。地域別では、EMEAが32.0%増の7億6,270万スイスフラン、米州が17.6%増の17億4,010万スイスフラン、アジア太平洋が96.4%増の5億1,110万スイスフラン。カテゴリー別では、シューズが27.5%増の28億440万スイスフラン、アパレルが68.2%増の1億6,990万スイスフラン、アクセサリーが124.1%増の3,960万スイスフラン。粗利益は34.7%増の18億9,360万スイスフラン。調整後EBITDAは46.3%増の5億6,700万スイスフラン。現金及び現金同等物は10.3%増の10億1,990万スイスフラン。第4四半期の売上高は22.6%増の7億4,380万スイスフラン、粗利益率は63.9%(前年62.1%)とQ4として過去最高。2026年の見通しとして、恒常為替ベースで売上高が少なくとも23%増加し、報告ベースで少なくとも30億4,400万スイスフランを見込む。通期の粗利益率は63.0%以上、調整後EBITDAマージンは18.5%〜19.0%と予想。

Key Facts

2025年通期の売上高は前年比30.0%増(恒常為替ベース35.6%増)の30億1,400万スイスフランで、初の30億スイスフラン超えを達成した。[1]
通期の粗利益率は62.8%(前年60.6%)、調整後EBITDAマージンは18.8%(同16.7%)に改善した。[1]
通期の純利益は15.9%減の2億370万スイスフラン(純利益率6.8%)となった。[1]
アジア太平洋地域の通期売上高は96.4%増(恒常為替ベース106.7%増)の5億1,110万スイスフランで、初めて5億スイスフランを超えた。[1]
2026年の見通しとして、恒常為替ベースで売上高が少なくとも23%増加し、報告ベースで少なくとも30億4,400万スイスフランを見込む。[1]

本紙の見方

今回の決算発表は、Onが掲げる「最もプレミアムなグローバルスポーツウェアブランド」というビジョンが、売上高30億スイスフラン超えという規模で実証された点が大きい。売上高の伸びは30.0%と高水準を維持し、粗利益率62.8%はプレミアム戦略の成果を示す。一方で、純利益は15.9%減と減少しており、成長への再投資が利益を圧迫した構図だ。調整後EBITDAは46.3%増と増加していることから、本業の収益力は向上しているが、純利益ベースでは何らかの費用(おそらく販管費や税金)が増加したとみられる。 本紙の過去報道は存在しないが、公開情報から見ると、Onは2025年7月にチューリッヒで初のLightSpray™工場(ロボット4台)を開設し、2026年2月25日には韓国・釜山近郊に第2工場(ロボット32台)を開設して生産能力を30倍に拡大すると発表している。今回の決算は、こうした生産能力への投資が収益性の向上と両立していることを示す。粗利益率の改善は、LightSpray™のような革新的な製造技術によるコスト効率と、プレミアム価格戦略の賜物とみられる。 業界構造への含意として、OnはDTCチャネルの成長(33.7%増)とアパレル・アクセサリーの拡大(売上高構成比7.0%)により、ランニングシューズ中心のブランドから「トゥ・トゥ・ヘッド」の総合スポーツウェアブランドへ進化している。特にアジア太平洋地域の売上高が96.4%増と急成長しており、今後の成長ドライバーとしての重要性が増している。 未確定の論点としては、純利益減少の具体的な要因(販管費の増加、税金、為替影響など)が挙げられる。また、2026年の売上高成長率の見通し(恒常為替ベースで23%以上)が、為替変動や地政学リスクの中で達成可能かどうかが焦点となる。さらに、LightSpray™工場の生産能力拡大が実際の売上高にどの程度寄与するかも注視すべき点だ。

なぜ重要か

Onの決算は、プレミアムスポーツウェア市場における成長と収益性の両立が可能であることを示す好例だ。売上高30億スイスフラン超えは、同社がニッチなランニングブランドからグローバルな主要ブランドへ成長した証左であり、投資家や競合他社にとって重要な指標となる。