何が起きたか
オムロンは米NVIDIAの技術を活用し、半導体パッケージ基板の検査装置事業を強化する。デジタルツインやAI(人工知能)を活用した検査技術を開発し、電子部品の反りなどわずかな異常を可視化する。半導体メーカーや後工程受託企業に提供することを目指す。
詳細
オムロン株式会社(本社:京都市下京区、代表取締役社長 CEO:辻永順太)インダストリアルオートメーションビジネスカンパニーは、NVIDIAとの協業を拡張し、より高度でリアルタイムに再現するデジタルツインによって、半導体基板検査の高精度化と属人に頼らないプロセスを実現したと発表した。オムロンは、基板の外観や内部を検査する装置(AOIやAXI)と、NVIDIA Omniverse™プラットフォームを組み合わせることで、半導体パッケージ基板の品質や生産性向上を目指す。具体的には、基板に実装された電子部品の反りの可視化やAIを活用し、簡易に実施できる診断が可能となり、半導体の検査工程の革新を実現している。 オムロンは、NVIDIAのデジタルツインに関する技術協業を2022年に開始し、これまで基板検査装置の内部にある基板の高速・高精度な仮想空間の再現に挑戦してきた。今回の取り組みでは、デジタルツインとAI技術を活用し、以下の3つの新たな取り組みを推進している。 1. デジタル空間上での再現により、基板に実装された電子部品の反りを視覚的に把握する。製造プロセスにおいて熱が加わることで発生する「基板に実装された電子部品の反り」の可視化は、電子部品製造における重要な課題の一つであり、部品のはんだ接合不良や品質異常につながる一方、肉眼では認識が困難である。オムロンは、NVIDIA Omniverse™のライブラリと連携し、電子部品の変形や変形に抵抗する力を物理シミュレーションによって再現することにより、従来は把握が難しかった繊細な反りをリアルタイムで視認することができる。この可視化により、製造現場は加熱・冷却プロセスにおける時間ごとの温度変化(熱プロファイル)を事前調整し、致命的なはんだ接合部の不良が発生する前に予測・防止することが可能になる。 2. AOIとAXIの空間的重ね合わせによる、隠れた因果関係の究明。オムロンはデジタル空間を活用し、AOI(外観検査装置)が取得した3D表面データと、AXI(3D-CT X線検査装置)が取得した内部構造のデータを重ね合わせる。これにより、エンジニアは、表面部品のズレを引き起こした内部の微細な気泡の特定など「表面で起きている事象の裏にある因果関係」を瞬時に見極めることができ、今まで見えなかった情報が見えるようになり、検査装置が提供する本質的な価値が飛躍的に高まる。 3. VSS技術を活用したAIエージェントによる検査業務の簡易化。熟練技術者不足という世界的な課題に対応し、検査業務の簡易化のため、オムロンはNVIDIAのVSS(Video Search and Summarization)技術を活用した。画像を見ながら説明できる「視覚言語モデル(VLM)」と、前後関係や状況を理解しながら過去の情報をもとに最適な解を答えるモデル(Graph RAG)を組み合わせることで、ユーザーに対して最適な判断と提案が可能になる。例えば、初心者ユーザーが「この基板はなぜ反っているの?」と自然言語で問いかけると、AIエージェントが過去に学習した内容から似た特徴を持った反りの画像とその要因を探し出し、ユーザーにわかりやすい言葉でその答えと知見を返す。 オムロン株式会社 インダストリアルオートメーションビジネスカンパニー 社長の山西 基裕は、次のように述べている。「オムロンは、リアルな現場感覚に根付いたオートメーションに関するノウハウと高速・高精度な制御技術によって、ソリューションの一部として極めて正確なデジタルツインを実現します。当社の検査データとNVIDIAのフィジカルAIを融合させることで、お客様は生産に影響を与える要因を可視化し、初心者オペレーターを熟練者へと変え、製造ラインのROI(投資利益率)を最大化することが可能になります。」 オムロンは、2026年度より中期ロードマップ「SF 2nd Stage」を始動し、事業成長のドライバーとなる13の注力事業を定めている。今回、NVIDIA社と協業する基板検査事業はそのうちの一つであり、オムロンの強みであるデバイス群を組み合わせる。
Key Facts
| オムロンはNVIDIAの技術を活用し、半導体パッケージ基板の検査装置事業を強化する。 | [0] |
| オムロンはNVIDIAとの協業を拡張し、デジタルツインによって半導体基板検査の高精度化と属人に頼らないプロセスを実現した。 | [2] |
| オムロンは基板の外観や内部を検査する装置(AOIやAXI)とNVIDIA Omniverse™プラットフォームを組み合わせる。 | [2] |
| オムロンはNVIDIAのデジタルツインに関する技術協業を2022年に開始した。 | [2] |
| オムロンはNVIDIA Omniverse™のライブラリと連携し、電子部品の変形や変形に抵抗する力を物理シミュレーションによって再現する。 | [2] |
| オムロンはAOI(外観検査装置)が取得した3D表面データと、AXI(3D-CT X線検査装置)が取得した内部構造のデータを重ね合わせる。 | [2] |
| オムロンはNVIDIAのVSS(Video Search and Summarization)技術を活用し、視覚言語モデル(VLM)とGraph RAGを組み合わせたAIエージェントを開発した。 | [2] |
| オムロン株式会社 インダストリアルオートメーションビジネスカンパニー 社長の山西 基裕は、検査データとNVIDIAのフィジカルAIの融合により、製造ラインのROIを最大化できると述べた。 | [2] |
| オムロンは2026年度より中期ロードマップ「SF 2nd Stage」を始動し、13の注力事業を定めている。 | [2] |
なぜ重要か
半導体パッケージ基板の検査は、AIデータサーバの技術革新に伴い高度な実装技術と高い品質管理が求められている。世界的な熟練技術者不足が深刻化する中、オムロンとNVIDIAの協業は、属人に頼らない品質管理体制の構築や歩留まり向上に寄与する可能性がある。