何が起きたか

日本経済新聞と日経クロステックが、人型ロボットの中核部品であるアクチュエーター市場で、NSKやTHKなど日本の部品メーカーに勝機があると報じた。

本紙の見方

本紙は、人型ロボットの量産化が現実味を帯びる中、中核部品であるアクチュエーターの供給体制が競争力を左右するとみる。日経クロステックの報道によれば、アクチュエーターは人型ロボットの製造コストの5割超を占め、1機当たり30個以上使用される。この数値は、部品メーカーにとって大きな市場機会を示す一方、コスト削減圧力の焦点でもある。 NSKは1000億円の売上を目指し「速度重視」の戦略を掲げ、デルタ電子や国内新興と次々提携している。本紙は既に、NSKが2026年8月20日にヒューマノイド開発スタートアップ「アトモ」とMOUを締結し、アクチュエーターの共同検証とフィジカルAIデータ収集に取り組むと報じた。今回の報道は、NSKの提携戦略が単発ではなく、複数のパートナーと並行して進む「速度重視」の姿勢を裏付けるものだ。 一方、THKは関西万博で走るロボットを展示し、次の勝負は「Sim2Real」のギャップを解決する技術とされる。本紙はTHKについて、2022年に福岡ソリューションセンターを開設し、ロボットデモ機を常設したことや、ロボット関節用回転モジュール「RMR」の受注開始を報じている。THKは実機デモとモジュール供給の両面で、シミュレーションと実機の乖離を埋める技術開発を進めているとみられる。 この動きは、中国企業の存在感が増す中で、日本の部品メーカーが「ギャップ」を埋める技術で勝機を見出す構図だ。アクチュエーターは精密な減速機やモーター、エンコーダーなどの統合が求められ、日本の機械加工技術や精密部品の蓄積が生きる分野である。ハーモニック・ドライブ・システムズは小型精密減速機で世界シェア80%を誇り、本紙もそのAI活用を報じた。こうした部品メーカーの技術力が、人型ロボットの量産競争で重要な差別化要因になる可能性がある。 ただし、今回の報道は日経系メディアの論調であり、具体的な受注実績や技術詳細は明らかでない。NSKの1000億円売上目標の達成時期や、THKのSim2Real技術の実用化時期は未公表だ。本紙は今後、これらの部品メーカーが実際にどのような量産体制を構築し、どのロボットメーカーに供給するのかを注視する。詳細は原典を参照されたい。

なぜ重要か

人型ロボットの量産競争は、本体メーカーだけでなく、アクチュエーターなど中核部品の供給力で勝敗が分かれる。日本の部品メーカーが「ギャップ」を埋める技術で存在感を示せば、フィジカルAI時代のサプライチェーンにおける日本の地位が再評価される可能性がある。

日本への影響

日本の精密部品メーカーがアクチュエーター市場で勝機を得ることは、国内の製造業にとって追い風となる。特に、NSKやTHK、ハーモニック・ドライブ・システムズなどが持つ精密加工技術は、中国勢が追随しにくい強みであり、人型ロボットの量産が進めば、これらの企業の受注拡大が期待される。