何が起きたか

2026世界ロボット大会(WRC)が8月19日から北京亦庄の北人亦創国際会展中心で開幕する。会期は5日間。大会発表によると、出展企業は300社超(前年比36%増)、展示品は2000点超、新製品は150点超、関連イベントは60余りと、過去最大規模となる。2024年の出展企業169社・展示品600点余りから、2年で出展企業は約2倍、展示品は約3倍に拡大した。

詳細

会場は約5万平方メートルで、智創館(C館)、智合館(B館)、智造館(A館)、智趣館(D館)の4館構成。C館は新設で面積2万平方メートル。智創館には宇樹科技、星海図、優必選、銀河通用、傅利叶、越疆、雲深处、加速进化など人形ロボット整機企業が集まり、京東が物流・小売・工業・家政の応用シーンを統合したスーパー展区を設ける。智合館にはAMD、Infineon、maxon、FAULHABER、Harmonic、Schaeffler、NSK、3Mなど国際部品企業が出展。智造館には珞石、非夕、雲迹、擎朗、普渡、申昊科技などの整機企業と、绿的谐波、卧龍電驱、鸣志電器、五洲新春、南方精工などの部品企業が並ぶ。智趣館では加速进化、泓柯智行、莫刻機器人がロボットの娯楽パフォーマンスを行う。大会は初の4つのテーマ日を設定し、8月19日を発表日、20日を調達日、21日を開発者日、22〜23日を一般公開日とする。調達日は今年初の試みで、大会は「展示プラットフォームから取引プラットフォームへの一歩」と位置づける。また「全球機器人応用探索计划」を発足し、人形ロボット、四足ロボット、器用手などの量産製品を無償で革新チームに提供する。

Key Facts

2026世界ロボット大会は8月19日から北京亦庄の北人亦創国際会展中心で開催、会期5日間。出展企業300社超、展示品2000点超、新製品150点超、イベント60余り。[1]
会場は約5万平方メートルで、智創館(C館・新設・2万平方メートル)、智合館(B館)、智造館(A館)、智趣館(D館)の4館構成。[1]
大会は初の4テーマ日を設定。8月19日発表日、20日調達日、21日開発者日、22〜23日一般公開日。調達日は今年初の試み。[1]
国务院国資委は大会で中央企業ロボット革新連合体の設立を発表し、49社の中央企業が12の応用シーンを展示する。[1]
工信部発表によると、2026年1〜5月の中国ロボット規上企業の営業収入は900億元超、前年同期比26.9%増。[1]

本紙の見方

今回のWRCの最大の特徴は、規模の拡大以上に「展示」から「交付」への軸足の移動が鮮明になったことだ。出展企業が300社超、展示品2000点超という数字は、2024年の169社・600点から2年でそれぞれ約2倍・約3倍という急膨張を示す。だが、本紙が注目するのは、この膨張が単なるブースの増設ではなく、産業の実需に裏打ちされている点だ。Omdiaの統計では2025年の世界人形ロボット出荷は約1.33万台で、智元機器人の5168台と宇樹科技の4200台(宇樹は自社で5500台超と主張)の2社で約70%を占める。高工機器人産業研究所は2026年の中国国内出荷を約6.25万台と予測し、前年の約3.5倍を見込む。出展企業の倍増が「熱度」だとすれば、出荷台数の倍増は「温度」であり、サプライチェーンと生産ラインの実力が問われる段階に入ったことを示す。 本紙が過去に報じたように、宇樹科技は8月19日に上海科創板へ上場し、初日の株価は公開価格比629%高、時価総額は一時約4450億元(約660億ドル)に達した。調達資金はロボットの自律動作を担う「大脳」とAIモデルの強化に充てられる。今回のWRCで宇樹が智創館に出展することは、上場で得た資金を背景に、量産とAI基盤の両面で攻勢を強める姿勢の表れとみられる。一方、本紙が8月21日に報じたNSKとアトモのMOUは、アクチュエーターの共同検証とフィジカルAIデータ収集を通じ、国産ヒューマノイド部品の量産体制構築を目指すものだ。智合館にNSKやSchaeffler、Harmonicといった国際部品企業が並ぶのは、中国市場の増量と国産代替が並行する競争構造の象徴である。 部品サプライチェーンの構造変化も見逃せない。諧波減速機では、2020年に日本ハーモニック・ドライブが世界シェア82%超を握っていたが、2025年には中国市場で绿的谐波27.5%、来福谐波21.4%と国産2社で約半数を占める。绿的谐波は現有産能約59万台/年から、募投プロジェクトで100万台を追加し、2027〜2028年までに総産能約159万台/年を計画する。これは、人形ロボットの量産が本格化する中で、関節部品の内製化・国産化が急速に進むことを示す。 さらに、今回の大会では央企(中央企業)の集団参入が新たな局面を迎える。国务院国資委が49社の中央企業による革新連合体の設立を発表し、12の応用シーンを展示する。界面新聞が4月に報じた国家電網の内部計画では、2026年に四足点検ロボット犬5000台、人形帯電作業ロボット500台、双臂点検ロボット3000台の調達を検討し、予算は約58億元とされる。これが実現すれば、電力業界の具身智能投資はさらに拡大する可能性がある。ただし、12の応用シーンのうち、どのシーンが調達論証段階に入っているかは、現場で確認すべき論点だ。 未確定の論点としては、まず出展企業のうち実際に小ロット納入を開始している企業がどれだけあるか。次に、優必選の消費級U1シリーズが発表時に「全チャネル注文累計13000台突破」と発表したが、注文の定義と納入進捗は未公開だ。さらに、北京市経信局が発表した「九大标杆场景機会清単」の50億元の調達需要が実際にどの程度消化されるかも焦点になる。中試験証プラットフォームが生産した1000台の人形ロボットがどのシーンに投入されたかも、現場で確認すべきだ。

なぜ重要か

世界ロボット大会は、中国ロボット産業の「展示」から「交付」への転換点を示す。出展企業の倍増は熱度の象徴に過ぎず、出荷台数の倍増と央企の調達参入が、産業の実需を左右する。読者にとっては、人形ロボットが量産段階に入ったかどうかを見極める重要な機会となる。

日本への影響

智合館にNSK、Harmonic、Schaefflerなど国際部品企業が集まる一方、中国の諧波減速機メーカーがシェアを拡大している。2020年に日本ハーモニック・ドライブが82%超を握っていた市場で、2025年には绿的谐波と来福谐波が中国市場の約半数を占める。日本の精密部品メーカーにとって、中国市場での競争が激化する一方、NSKがアトモと提携して国産ヒューマノイド部品の量産体制を構築する動きは、日本国内でのサプライチェーン強化の一例といえる。