何が起きたか

研究チームは、実機のHRP-5Pヒューマノイドロボットにおいて、アクチュエータの電流フィードバックを利用した強化学習ベースの二足歩行制御を実現したと発表した。論文は2023年3月7日にarXivで公開された。提案手法は、シミュレーション環境でトルク追従が不正確な状況を人工的に再現し、その環境でポリシーを訓練した後、実機に展開する。アブレーション研究により、フィードフォワード型のポリシーアーキテクチャとターゲットを絞ったダイナミクスランダム化がゼロショットでのsim2real成功に十分であることを示した。

詳細

従来の強化学習による脚式ロボット制御は、直接駆動アクチュエータを備えた四足ロボットや、低ギア比の軽量二足ロボットに限られていた。実物大のヒューマノイドへの適用は、sim2realギャップの大きさからあまり行われてこなかった。本研究では、アクチュエータレベルのトルク追従誤差に起因するギャップに着目し、実機のアクチュエータから電流フィードバックを取得するというアイデアを提案している。シミュレーションでは、トルク追従が悪い環境を人工的に作り出してポリシーを訓練し、そのポリシーを実機HRP-5Pに展開して二足歩行を達成した。さらに、アブレーションにより、メモリベースの複雑なネットワークアーキテクチャを使わずとも、フィードフォワード型のポリシーとダイナミクスランダム化の組み合わせでゼロショットsim2realが可能であることを示した。また、不整地での歩行において、従来のモデルベース制御と比較して提案するRLポリシーのロバスト性を検証した。

Key Facts

研究チームは、実機HRP-5Pヒューマノイドロボットで二足歩行を実現した。[1]
提案手法は、アクチュエータの電流フィードバックを利用する。[1]
シミュレーション環境はトルク追従が不正確な状態に人工的に劣化させて訓練する。[1]
フィードフォワード型のポリシーアーキテクチャとダイナミクスランダム化でゼロショットsim2realが可能であることを示した。[1]
従来の強化学習アプローチは四足ロボットや低ギア比の軽量二足ロボットに限られていた。[1]
実物大ヒューマノイドへの適用はsim2realギャップのためあまり行われてこなかった。[1]
不整地歩行において、従来のモデルベース制御と比較して提案RLポリシーのロバスト性を検証した。[1]
論文は2023年3月7日にarXivで公開された。[1]

なぜ重要か

本研究は、実物大ヒューマノイドへの強化学習適用におけるsim2realギャップ問題に対する実用的な解決策を示した。電流フィードバックを利用することで、高価なメモリベースのアーキテクチャを必要とせず、ゼロショット転送を可能にした点は、今後のヒューマノイド制御の発展に寄与する可能性がある。