何が起きたか
ファナックは2025年8月5日、産業用ロボットの基本を解説するコラム記事を公開した。記事は、JIS B 8433-1:2015に基づく定義や、垂直多関節、水平多関節(スカラ)、パラレルリンク(デルタ)、直交の4種類を整理している。あわせて、溶接、組立、搬送、塗装、洗浄、検査、研磨・バリ取りなどの用途と、安全柵やセンサを用いた安全対策を説明した。
詳細
記事では、産業用ロボットを「産業オートメーション用途に用いるため、位置が固定又は移動し、3軸以上がプログラム可能で、自動制御され、再プログラム可能な多用途マニピュレータ」として紹介している。安全対策については、安全柵の設置が基本的かつ効果的とし、ISO 10218やJIS B 8433-2:2015、労働安全衛生規則にも触れている。 また、産業用ロボットの導入メリットとして、省人化、生産性向上、品質向上、多品種・少量生産対応、多工程対応を挙げた。ファナックは、自社の産業用ロボットについて、機構部・サーボモータ・制御装置・ソフトウェア・センサに至るまで自社で設計・製造していると説明している。
Key Facts
| ファナックは2025年8月5日、産業用ロボットを解説するコラム記事を公開した。 | [2] |
| 記事は、産業用ロボットをJIS B 8433-1:2015に基づいて定義している。 | [2] |
| 記事は、垂直多関節、水平多関節(スカラ)、パラレルリンク(デルタ)、直交の4種類を紹介している。 | [2] |
| 安全対策として、安全柵の設置、センサ技術、協働ロボットに言及している。 | [2] |
| ファナックは、機構部・サーボモータ・制御装置・ソフトウェア・センサを自社で設計・製造しているとしている。 | [2] |
本紙の見方
今回のコラムは、新製品や大型投資の発表ではなく、産業用ロボットの基礎概念を整理し直した点に意味がある。特に、用途を溶接・組立・搬送・塗装・洗浄・検査・研磨・バリ取りまで並べ、安全柵やセンサ、協働ロボットまで触れているため、同社が想定するロボット活用の射程を示す内容になっている。一方で、台数や売上、個別機種の更新計画は示しておらず、技術説明が主である。 本紙の関連記事である安川電機、協働ロボット「MOTOMAN-HC12」を発売は、協働ロボットを具体機種として市場に出す動きだった。それに対し今回は、ファナックが協働ロボットを安全対策の文脈で位置づけ、さらに産業用ロボット全体の定義と種類を再提示している。つまり、製品競争の前段にある「どういう現場で、どの安全要件の下で、どのタイプのロボットを使うか」という整理を担っているとみられる。 構造面では、記事が「入力→処理→製造→導入→安全」という流れを示している点が重要である。労働人口減少や人手不足を背景に導入メリットを説明しつつ、同時に安全柵や規格への適合を強調しており、単なる省人化の話ではなく、現場実装の条件まで含めた説明になっている。さらに、機構部からソフトウェア、センサまで自社で設計・製造するという記述は、ロボット本体だけでなく制御と周辺要素を含む垂直統合の姿を示す。競合各社が協働ロボットや用途別機種を押し出すなか、ファナックは基礎知識の提供を通じて、標準機から高信頼性機までの一体的な提案力を前面に出しているように読める。 次に確認したいのは、同社がこの基礎説明をどの製品群や導入分野に接続していくかである。記事単体では、協働ロボット、搬送、検査、機械加工のどこを重点領域とするか、また安全柵と協働運用のどちらを主に訴求するかはまだ読み切れない。実際の市場競争では、機種の可搬質量、リーチ長、制御方式、ソフトウェア連携、保守体制が差別化の焦点になるとみられる。
なぜ重要か
ファナック自身が示した定義、用途、安全対策は、産業用ロボットを導入する現場が最低限確認すべき条件を整理している。特に安全柵、センサ、協働ロボットに触れている点は、同じロボットでも設置方法や運用条件によって必要な設備が変わることを示している。
日本への影響
記事は、溶接、組立、搬送、塗装、洗浄、検査、研磨・バリ取り、さらに機械加工や物流まで産業用ロボットの用途を広く挙げている。日本ではこれらの工程に関わる工作機械、センサ、安全機器、制御、保守の各産業が直接関わるため、ロボット本体だけでなく周辺機器の適合性が重要になるとみられる。