何が起きたか

韓国・ソウルのCoexで3月4日から6日まで、製造業向け展示会「Smart Factory + Automation World (AW) 2026」が開催された。過去最大規模となる24カ国500社・2,300ブースが参加し、テーマは「Autonomy, the Driver of Sustainability」。従来のスマートファクトリー・DX中心から、AIとヒューマノイドによる自律製造を軸とした次世代産業プラットフォームへの転換を打ち出した。

本紙の見方

今回のAW 2026は、韓国製造業が「スマートファクトリー」から「AI・ヒューマノイドによる自律製造」へ軸足を移す象徴的なイベントと位置づけられる。Coex社長が「史上最大」と語る規模の拡大は、単なる展示面積の増加ではなく、製造業の関心が従来のDXからPhysical AIへとシフトしていることを示唆する。 本紙の過去報道との接続で見ると、この流れは複数の既存トレンドと整合する。まず、2026年8月12日付『Hyundai Motor Group、Physical AI時代へ向けた全社AI変革を発表』で報じたように、韓国最大手の自動車グループが車両・ロボティクス・製造のデータを活用したPhysical AI戦略を打ち出している。AW 2026のテーマは、こうした大手の戦略と軌を一にするものであり、韓国製造業全体がAI・ロボット中心の変革を進めていることの表れとみられる。 また、2026年8月14日付『北米ロボット市場、自動車向け受注25%減 新規顧客開拓が進む』で指摘したように、北米では自動車OEMからの受注が減少し、ロボットメーカーは新規顧客開拓を迫られている。AW 2026が「自律製造」を掲げるのは、自動車以外の業種や中小企業を含む幅広い製造現場にAI・ロボットを普及させようとする意図の表れと解釈できる。 さらに、2026年8月10日付『2026年7月の中国ロボット融資、核心部品が25%に 触覚・関節系に集中』で報じた中国のロボット産業の活況と比較すると、韓国は展示会を通じて産業エコシステムを形成しようとしている点で対照的だ。中国が部品・資金に集中する一方、韓国は完成品・システムインテグレーションに強みを持つ可能性がある。 競合の観点では、Boston DynamicsやApptronikなどがヒューマノイドの実用化を進める中、韓国勢はHyundai Motor Groupを中心にロボティクス分野で存在感を示している。AW 2026で披露された技術の詳細は公開情報では確認できないが、今後の量産・実証の進展が焦点になる。 今後確認すべき点は、第一に、展示されたAI・ヒューマノイド技術の具体的な仕様や価格帯、第二に、韓国国内での実証導入事例の有無、第三に、中国・北米勢との競争における韓国製造業の差別化要因である。

なぜ重要か

AW 2026は、韓国製造業がAIとヒューマノイドによる自律製造へ本格的に舵を切ったことを示す。これは、自動車産業の変革や北米市場の変化と連動しており、製造業の競争構造を大きく変える可能性がある。読者にとっては、韓国発の技術動向が今後の製造業の標準を形成するかどうかを見極める重要な機会となる。