何が起きたか

中国国営新華社通信によると、中国は道路交通安全法改正案に自動運転車の専用章を追加し、自動運転モードで走行中の交通違反について、メーカーまたは輸入業者が責任を負う可能性があると明記した。改正案は8月25日に最高立法機関で初回審議された。

本紙の見方

今回の改正案は、中国が自動運転の商用化に向けて法的枠組みを整備する動きの一環とみられる。自動運転中の違反責任をメーカーや輸入業者に帰属させる点は、世界の主要国でも議論が分かれる論点であり、中国が「運転者」から「システム提供者」への責任移行を明確に打ち出した点は注目に値する。 本紙の過去報道(関連記事なし)との接続はできないが、中国の自動運転政策はこれまで「東数西算」に代表される計算基盤の整備や、ロボット産業の育成と並行して進められてきた。例えば、内蒙古フフホトのホリンガー新区では「東数西算」のデータセンタークラスターとして半径3キロメートル以内に30以上のデータセンターが建設中であり、AI需要の急増に対応する計算ネットワークの整備が進む。自動運転車は大量のデータ処理とAI推論を必要とするため、こうした計算基盤の整備は自動運転の実用化を支えるインフラとなる。 また、北京のGalbot社はSim2Real(シミュレーションから実世界への転移)手法を用いて、実世界データ収集のコストを削減し、大規模な合成データによる事前学習と最小限の実データによる微調整を組み合わせることで、ロボットのスケーラブルな自動化を目指している。自動運転車も同様に、実世界でのテストデータ収集はコストが高く、シミュレーション環境での学習が重要になる。今回の法改正は、こうした技術開発の進展を後押しする可能性がある。 業界構造への含意として、自動運転車の責任がメーカーに帰属することで、自動車メーカーはより厳格な安全検証と品質管理を求められる。また、保険業界や部品サプライヤーにも影響が及ぶとみられる。一方で、責任の所在が明確になることで、自動運転車の商用展開が加速する可能性もある。 今後確認すべき点は、①改正案の詳細な条文(責任の範囲や免責条件など)、②成立時期と施行時期、③自動運転車の定義にレベル3以上のシステムが含まれるかどうか、である。

なぜ重要か

中国が自動運転車の責任をメーカーに帰属させる法改正を進めることは、世界最大の自動車市場における自動運転の商用化ルールを定めるものであり、グローバルな自動車メーカーやテクノロジー企業の戦略に影響を与える。