何が起きたか
香港の初の5カ年計画を巡り、米国商工会議所(AmCham)と香港工業総連盟(FHKI)が、北部都会区のメガプロジェクトを優先し、国際金融センターとしての地位強化とAI戦略の推進を求める提言をまとめた。公開協議は閉幕までに1万6000件超の意見が寄せられ、青写真は9月に公表予定。中国の第15次5カ年計画(2026〜2030年)に合わせた方向性が示される。
本紙の見方
今回の提言は、香港が初めて策定する5カ年計画に向けたもので、北部都会区とAI戦略を柱に据えた点が特徴的だ。北部都会区は香港と深圳を結ぶ地域開発計画で、これまでも香港の成長戦略の要とされてきた。今回、AmChamとFHKIがそろって優先事項に挙げたことで、ビジネス界の関心の高さがうかがえる。 一方、AI戦略の推進は、中国本土の「東数西算」構想やAI産業の急成長と軌を一にする。中国では大規模言語モデルやAIエージェントの普及に伴い、トークンの平均日次使用量が過去2年で1400倍以上に増加したとされる。こうした需要に対応するため、西部に位置する8つの全国計算ハブのうち5つが風力・太陽光資源を生かして計算コストを低減している。香港がAI戦略を強化する背景には、こうした本土の計算基盤整備との連携や、国際金融センターとしてのデータ・資本のハブ機能を活用する狙いがあるとみられる。 香港の5カ年計画は、中国の第15次5カ年計画(2026〜2030年)に合わせて策定される。本土の計画では、ロボット工学とAIが成長を牽引するとされ、香港もその流れに乗ることが期待される。ただし、香港のAI戦略は、本土の計算基盤やデータ資源へのアクセスに依存する面が強く、独自の計算能力やデータセンターの整備が課題となる可能性がある。 今後確認すべき点は、第一に、9月に公表予定の青写真に北部都会区とAI戦略がどの程度具体的に盛り込まれるか。第二に、香港のAI戦略が本土の計算基盤とどのように連携するか(例えば、香港独自のデータセンター建設や、本土の計算ハブの利用など)。第三に、国際金融センターとしての地位強化とAI戦略がどのように結び付けられるか(例えば、AI関連の資金調達や人材育成の具体的施策)である。
なぜ重要か
香港の初の5カ年計画は、中国の第15次5カ年計画に合わせて策定され、北部都会区とAI戦略が優先課題となる。これにより、香港の産業構造や中国本土との連携のあり方が大きく変わる可能性があり、ビジネス界や投資家にとって重要な意味を持つ。