何が起きたか

市場調査会社アックスタイムズ株式会社(大阪市中央区、代表取締役・橋本規宏)は2026年7月21日、フィジカルAIの技術・市場・政策をまとめた調査報告書「フィジカルAIの技術・市場・政策&グローバル事例調査 2026年版[No.1 総括・政策・基盤編]」を発表した。同社の推定によると、フィジカルAI市場(基盤市場と主要ハードウェア市場の合計)は2025年に2兆1,810億円で、2040年には189兆円(2025年比86.7倍)に拡大する。内訳は、基盤市場が2025年3,000億円から2040年30兆円(同100.0倍)、主要ハードウェア市場が2025年1兆8,810億円から2040年159兆円(同84.5倍)。主要ハードウェアにはヒューマノイドロボット、四足歩行ロボット、FAロボット、搬送ロボット、建設機械、農業機械、乗用車・ロボタクシー、トラック、ドローン、配送ロボットの10技術が含まれる。

詳細

調査報告書はPDF形式(スライド16:9、85ページ)で、価格は事業所ライセンス版が税込99,000円、企業ライセンス版が税込148,500円、グループライセンス版が税込247,500円。調査対象は20技術(ソフトウェア・システム1技術、主要ハードウェア10技術、タスク特化型ハードウェア9技術)。市場規模の算出は150円/USD(2025年平均)を前提とし、2026年以降の為替・物価変動は考慮していない。調査期間は2026年4月~7月。調査方法は業界インタビューと公開情報調査に基づく。報告書には技術開発709事例を収録したExcelデータセットが付属する。同社は2026年10月26日に購入者向け解説ウェビナーを開催予定。

Key Facts

アックスタイムズは2026年7月21日、フィジカルAI市場の調査報告書を発表した。[1]
フィジカルAI市場は2025年に2兆1,810億円、2040年に189兆円(2025年比86.7倍)と予測。[1]
主要ハードウェア市場は2025年1兆8,810億円、2040年159兆円(同84.5倍)。[1]
フィジカルAI基盤市場は2025年3,000億円、2040年30兆円(同100.0倍)。[1]
調査報告書の価格は事業所ライセンス版税込99,000円、企業ライセンス版税込148,500円、グループライセンス版税込247,500円。[1]

本紙の見方

今回の発表は、フィジカルAI市場を「基盤市場」と「主要ハードウェア市場」に分け、2040年までの長期予測を示した点で、同社の既存調査(2026年8月20日付本紙記事で報じた主要ハードウェア市場の2025年実績)を拡張するものだ。前回は2025年のハードウェア市場を1兆8,000億円としていたが、今回の報告書では1兆8,810億円とやや上方修正されている。これは調査範囲や集計方法の違いによる可能性があるが、同社の推定値が更新されたことを示す。 市場構造をみると、2025年時点では主要ハードウェアが全体の86%を占め、その中でも乗用車・ロボタクシーが最大セグメント(前回調査で1兆8,000億円)とされる。一方、基盤市場は3,000億円と小さいが、2040年には30兆円と100倍に拡大する見込みで、成長率はハードウェア(84.5倍)を上回る。これは、ハードウェアの普及に伴いAIモデルや半導体、シミュレーションなどの基盤技術への需要が急増するという同社の見立てを反映している。 地域別では、米国が技術開発で先行し、欧州は制度整備、日本は製造業・物流業中心、中国は国策で推進と整理している。この構図は、フィジカルAIのサプライチェーンにおいて、米国が基盤技術(AI半導体・ソフトウェア)を握り、日本や中国がハードウェア量産を担うという分業を示唆する。特に日本は製造業・物流業での導入が中心とされ、FAロボットや搬送ロボットの需要が下支えするとみられる。 一方で、今回の予測はあくまで同社の推定であり、2040年までの長期予測には不確実性が伴う。特に、ヒューマノイドロボットの量産時期や、制度整備・標準化の進展度合いが市場拡大の鍵を握るが、具体的なロードマップは示されていない。また、為替前提を150円/USDに固定しているため、今後の円高・円安で市場規模の円換算値は変動し得る。次に確認すべきは、同社が公表する技術別の市場規模推移や、主要企業のシェア動向、そして2026年10月の解説ウェビナーで示される詳細な分析だろう。

なぜ重要か

フィジカルAI市場が2040年に189兆円へ拡大するという予測は、企業の事業戦略や投資判断に影響を与える。特に、基盤市場の成長率がハードウェアを上回る点は、AI半導体やシミュレーション技術への投資機会を示唆しており、製造業や物流業だけでなく、IT・半導体関連企業にとっても重要な指標となる。

日本への影響

同社の調査では、日本は製造業・物流業を中心にフィジカルAIの導入拡大が見込まれるとしている。これは、FAロボットや搬送ロボットなど、日本の強みである産業用ロボット分野での需要増加につながる可能性がある。一方で、基盤技術(AI半導体・ソフトウェア)では米国が先行しており、日本はハードウェア中心の立ち位置となる。日本の部品メーカーにとっては、ロボットの量産化に伴うモーター・センサーなどの需要拡大が期待されるが、基盤技術の内製化が進むかが今後の焦点となる。