何が起きたか

AgiBotは2026年11月3日、身体性AI基盤モデル「GO-3 Preview」を発表した。同社は、RoboDojo、RoboTwin、RoboColiseumの3ベンチマークで首位を獲得したとしている。モデルは事前学習、事後学習、実機展開後の学習を連携させる設計で、2026年末までに全面オープンソース化する計画だ。

詳細

GO-3 Previewは同社独自の身体性AIアーキテクチャ「WRAM(World Reasoning Action Model)」を基盤とし、タスク理解、将来状態の予測、行動生成を一つの構成にまとめる。事前学習では、人間の一人称動画とロボットの動作軌跡を学習データとして扱うと同社は説明している。 事後学習システム「Genie Evolver」は、100台の実機ロボットと物理シミュレーション、ワールドモデルを組み合わせる。実機での実行経験を集約するCEL(Collective Experience Learning)も用い、エージェント基盤「Genie Master」とともに、実機展開までを含む学習システムを構成する。

Key Facts

AgiBotは2026年11月3日、身体性AI基盤モデル「GO-3 Preview」を発表した。[1]
同社はGO-3 PreviewがRoboDojo、RoboTwin、RoboColiseumの3ベンチマークで首位を獲得したとしている。[1]
GO-3 PreviewはWRAM(World Reasoning Action Model)を基盤とし、タスク理解、将来状態予測、行動生成を統合する。[1]
Genie Evolverは100台の実機ロボット、物理シミュレーション、ワールドモデルを組み合わせる。[1]
AgiBotはGO-3 Previewを2026年末までに全面オープンソース化する計画だ。[1]

本紙の見方

3つのベンチマークでの首位という評価と、100台の実機ロボットを用いる事後学習環境は、別の能力を示す。前者は特定ベンチマーク上の比較結果であり、後者は実機の経験を学習へ戻す仕組みとして説明されている。したがって本件の新しさは、首位の数だけでなく、WRAMによる事前学習、Genie Evolverによる実機・仮想環境での事後学習、展開後の学習を一続きの設計として掲げた点にある。ただし、発表資料のベンチマーク順位だけから、実環境での汎用性や作業の安定性まで確認できるわけではない。 構成上、WRAMはタスクの理解から将来状態の予測、行動生成へつなぎ、Genie Evolverは実機の軌跡やシミュレーション、ワールドモデルでの別の行動選択を扱う。これはモデルの学習とロボットの実行を切り離さず、実行経験を次の方策改善に使う考え方である。一方、100台という数字は学習システムに組み込む実機の規模であり、同社が展開するロボットの稼働台数や商用導入数を示すものではない。発表資料からは、ベンチマーク順位がどの条件・評価指標に基づくか、実機での成功率や作業時間がどの程度かは読み取れない。 本紙の関連記事では、智元のロボット稼働量指標「Worken」が提案されたと報じられた。また、智元の24時間店舗ライブでは、作業件数が報じられている。これらは別企業の話だが、モデルのベンチマーク評価と、実環境で何をどれだけ実行したかを分けて測る必要性を示す比較材料になる。GO-3についても、順位の再現性に加え、学習に使う実機データの収集・選別方法、失敗経験の扱い、展開後に得た経験をどの範囲で共有するかが、評価の前提となる。 全面オープンソース化は2026年末までの計画として示されたが、公開される範囲やライセンス、学習データの利用条件は資料中で確認できない。今後は、公開後にモデルと学習手順をどこまで再現できるか、3ベンチマーク以外の作業や異なるロボットでも能力が移るか、実機での安全性をどう評価するかが焦点となる。現時点では、同社の構想と公表された順位を、第三者が再検証した実稼働性能と同一視しないことが重要だ。

なぜ重要か

GO-3 Previewはベンチマーク上の評価だけでなく、100台の実機ロボットとシミュレーション、ワールドモデルを組み合わせる事後学習の構成を示した。ロボットの学習基盤を評価する側にとっては、順位と実機の作業実績を分け、公開後に学習方法や評価条件を検証できるかが具体的な判断材料となる。