何が起きたか
深圳拠点の具現化AI企業X Square Robotは、2026年8月24日、北京で開催された世界ロボット会議(WRC 2026)への参加を終了したと発表した。同社は独自の具現化AI基盤モデルWALL-Bを複数のロボットプラットフォームで実演し、物流分拣では5時間14分1秒で1万個の荷物を処理、平均毎時1,911個(1個あたり約1.88秒)のスループットを記録した。家庭環境では二輪型ヒューマノイドが音声指示で家事を実行し、22自由度の5本指器用ハンドが扇風機の開梱作業を完了した。
詳細
WRC 2026でのデモは、8月12日の物流ライブ配信を5時間のチャレンジに拡張したもの。物流分拣システムは実稼働ラインで稼働しており、24時間連続運用を想定する。チャレンジでは、サイズ・形状・材質・位置が異なる荷物を識別・把持・整列し、失敗の修正やコンベアの変化への対応を繰り返した。家庭環境では、二輪型ヒューマノイドが部屋間を移動し、物の整理、取り出し・配達、掃除、水やり、ペット関連の作業を実行。別のデュアルアームシステムは、訪問者の自然言語によるリクエストに応じて指定色の花を選択し、花瓶に生ける作業を実行し、花かごや花瓶が移動されると動作を再計画した。22自由度の5本指器用ハンドは、視界が箱で部分的に遮られる中、開梱、狭い空間からのファン取り出し、テーブルへの設置、電源投入、動作確認を完了した。
Key Facts
| X Square Robotは2026年8月24日、WRC 2026への参加終了を発表した。 | 出典一覧 |
| 物流分拣チャレンジで、WALL-B搭載システムは5時間14分1秒で1万個の荷物を処理し、平均毎時1,911個(1個あたり約1.88秒)のスループットを達成した。 | 出典一覧 |
| 家庭環境では、二輪型ヒューマノイドが音声指示で家事(整理、取り出し、掃除、水やり、ペット関連)を実行した。 | 出典一覧 |
| 22自由度の5本指器用ハンドが、視界が遮られる中で扇風機の開梱作業を完了した。 | 出典一覧 |
| X Square Robotは3月に58.comと家庭清掃サービスを開始し、5月には「X Family Member Program」で家庭へのロボット常駐を開始した。 | 出典一覧 |
本紙の見方
X Square RobotはWRC 2026で、基盤モデルWALL-Bを家庭、物流、器用操作という異なる物理環境に展開し、「一つのモデル、多様な応用」を掲げた。今回の発表の新しさは、単一の基盤モデルが複数のロボットプラットフォームとタスクを横断する点にある。物流分拣で毎時1,911個という数値は、8月12日のライブ配信で示した毎時1,816個を上回り、5時間超の連続運用で1万個を処理したことは、実運用での耐久性を強調する材料だ。同社は8月19日のWRC展示でも毎時1,816個を実証しており、今回の数値はその延長線上にある。 本紙の過去報道では、X Square Robot、WRC 2026で具現化AIの全領域を展示 物流分拣は毎時1,816個、コスト70%削減(2026年8月19日)で毎時1,816個を報じ、X Square Robot、物流分拣で毎時1,816個の処理を実演 WALL-B基盤モデルと6軸アームを組み合わせ(2026年8月13日)でライブ配信を報じた。今回の毎時1,911個は、これらの数値をわずかに更新するものであり、性能の漸進的向上を示す。また、X Square Robot、APECデジタル週間で成果発表 58.comと家庭サービス、物流分拣は毎時1,200個超(2026年7月24日)では毎時1,200個超だったが、1か月で約60%向上したことになる。 業界構造への含意として、同社は58.comとの家庭サービス提携を3月に開始し、5月には家庭へのロボット常駐プログラムを開始した。今回のデモは、家庭環境での実証を継続する姿勢を示す。物流分拣の数値向上は、同社が物流分野での実用化を加速させていることを示唆する。一方で、同社は4回連続調達を完了 評価額28億ドル超 中国4大テック大手が全て出資(2026年7月13日)で報じたように、Alibaba、ByteDance、Xiaomi、美団などから出資を受けており、資金力のある企業が実証を急いでいる構図だ。 未確定の論点として、今回のデモで使われたロボットの具体的な機種や台数、家庭サービスでのロボット稼働台数、物流分拣システムの商用導入先などはソースに明記されていない。また、毎時1,911個のスループットが実験環境での数値か、実稼働ラインでの数値かも判別できない。今後の発表で、これらの実運用データが明らかになるかが焦点になる。
なぜ重要か
X Square Robotの「一つのモデル、多様な応用」戦略は、具現化AIの基盤モデルが単一タスクではなく、家庭・物流・工業など複数領域で共通して使えることを示す。物流分拣のスループット向上は、同社が実用化に向けて性能を継続的に改善している証左であり、中国の具現化AI競争における技術的優位性を左右する指標となる。
日本への影響
X Square Robotの物流分拣システムは、部品の内製化や基盤モデルの共通化を進めるものであり、日本の物流ロボット企業にとっては競争圧力となる。特に、毎時1,911個のスループットは、日本の物流現場で求められる処理能力と同等かそれ以上であり、日本企業は価格競争力や特化型ソリューションで差別化を図る必要がある。ただし、ソースに日本市場への言及はなく、具体的な影響は不明である。