何が起きたか
ロボット向け汎用AIを開発する米Skild AIは2026年1月14日、14億ドルを調達し、評価額が140億ドル超に3倍増したと発表した。調達はソフトバンクグループが主導し、エヌビディアのベンチャー部門NVentures、マッコーリー・キャピタル、ベゾス・エクスペディションズ、ディスラプティブ、1789キャピタルに加え、サムスン、LGテクノロジーベンチャーズ、シュナイダーエレクトリック、コモンスピリット・ヘルス、セールスフォース・ベンチャーズが参加した。調達総額は18億3000万ドル超となる。
詳細
Skild AIは「オムニボディ」と呼ばれる、あらゆるロボットをあらゆるタスクで操作できる汎用AIを開発する。今回の調達は、同社が45億ドルの評価額で1億3500万ドルを調達したシリーズBからわずか7か月余り後に行われた。同社は2025年に「わずか数か月」でゼロから約3000万ドルの収益を達成したとしている。
Key Facts
| Skild AIは14億ドルを調達し、評価額が140億ドル超に3倍増した。 | [2] |
| 調達はソフトバンクグループが主導し、NVentures、マッコーリー・キャピタル、ベゾス・エクスペディションズ、ディスラプティブ、1789キャピタルが参加した。 | [2] |
本紙の見方
今回の調達は、ロボット向け汎用AIへの資金集中を象徴する。Skild AIは「オムニボディ」と称する、特定のハードウェアに依存しないAI基盤を開発しており、これはロボット産業のバリューチェーンにおいて「頭脳」に相当する層を担う。評価額が7か月で3倍に跳ね上がった背景には、物理AIへの投資熱の高まりがある。 本紙の過去報道では、AMDがロボティクス・パートナーネットワークを発表し、オープン標準による開発加速を図る動きを報じた。Skild AIのような「ロボットの脳」に特化する企業は、こうしたエコシステムの中で基盤技術を提供する立場にあり、ハードウェアメーカーとの連携が鍵となる。また、索塔无界が4D世界モデルで「ロボットの脳」に特化する戦略を報じたが、Skild AIも同様のアプローチであり、この分野での競争が激化している。 業界構造への含意として、今回の調達にはサムスンやLGといった韓国大手が参加しており、彼らがロボット用AIの確保を急いでいることが読み取れる。サムスンは半導体メモリでAI需要を取り込む一方、ロボット分野でもAI基盤への投資を進める。また、エヌビディアのベンチャー部門が参加することで、同社のGPUエコシステムとの親和性が高まる可能性がある。 未確定の論点としては、Skild AIの「オムニボディ」が実際にどの程度のロボットに対応し、量産段階で性能を発揮できるかが挙げられる。また、収益の内訳や主要顧客は公開されておらず、今後の事業展開を注視する必要がある。
なぜ重要か
ロボット向け汎用AIへの大型投資は、物理AI時代の基盤競争を象徴する。Skild AIの評価額急騰は、ハードウェアではなく「頭脳」に価値が移行しつつあることを示しており、ロボット産業の競争構図を変える可能性がある。
日本への影響
日本のロボットメーカーは、ハードウェアの強みを持つ一方で、AI基盤の外部依存が課題となる。Skild AIのような「ロボットの脳」を提供する企業の台頭は、日本のメーカーにとってはAI調達先の選択肢を広げる一方、自前開発の遅れが競争力に影響する可能性がある。