何が起きたか

美的集団(Midea Group)は2025年8月19日、2025年フォーチュン・グローバル500で246位にランクインし、前年から31位浮上したと発表した。2024年の売上高は4091億元(前年比9.5%増)、株主帰属純利益は385億元(同14.3%増)、営業キャッシュフローは過去最高の605億元に達した。ロボット関連では、傘下のKUKAに加え、自社開発のヒューマノイドロボット「MELo」と「MELa」がスマート製造分野に正式に投入された。

詳細

美的集団は2025年7月21日に上海の美的グローバルイノベーションキャンパスを開設し、「2+4+N」のグローバル研究開発ネットワークを強化した。過去3年間の研究開発投資は430億元超。2024年末時点の特許保有数は15万件超で、同年に1万1000件(うち発明特許5000件超)を新規取得した。スマート製造では、世界に6つのライトハウス工場(うち重慶の美的ビルディングテクノロジーズ工場は中央空調業界初のエンドツーエンドAI対応ライトハウス工場)と37の国家級グリーンファクトリーを運営する。国家重点実験室「美的ブルーオレンジラボ」ではRV減速機などの中核技術でブレークスルーを達成した。海外売上高は全体の40%超を占め、OBM(自社ブランド製造)事業は前年比35%増となった。

Key Facts

美的集団は2025年フォーチュン・グローバル500で246位にランクインし、前年から31位浮上した(2025年7月29日発表)。[1]
2024年の売上高は4091億元(前年比9.5%増)、株主帰属純利益は385億元(同14.3%増)、営業キャッシュフローは605億元。[1]
過去3年間の研究開発投資は430億元超。2024年末時点の特許保有数は15万件超。[1]
美的集団は世界に6つのライトハウス工場と37の国家級グリーンファクトリーを運営する。[1]
自社開発のヒューマノイドロボット「MELo」と「MELa」がスマート製造分野に正式に投入された。[1]

本紙の見方

今回のフォーチュン・グローバル500での順位浮上は、美的集団の事業ポートフォリオ転換の節目を示す。売上高4091億元のうち、B2B事業が初めて1000億元を超え、エネルギー、ロボティクス、ヘルスケアが第二の成長エンジンとなった。ロボティクス分野では、2017年に買収したKUKAが中核を担い、さらに自社開発のヒューマノイド「MELo」「MELa」をスマート製造に投入した。これは、KUKAの産業用ロボット技術と、美的自身の家電製造で培った量産・品質管理能力を組み合わせた垂直統合の動きとみられる。 本紙の過去報道では、KUKAが包装自動化のライブデモを出展し、協働ロボットLBR iisyとAMRを披露したことを報じた。また、KUKAはロボット部品再利用の「Circular Services」を展開している。これらの動きは、美的グループ全体として、産業用ロボットからサービスロボット、さらにはヒューマノイドまでをカバーする戦略の一環と位置づけられる。 一方、36Krの報道によると、ブルーオレンジラボの重工業ロボットフォーラムでは、産業用ロボットの知能化にはまだ3つの大きな課題があり、ヒューマノイドが産業用ロボットを完全に置き換えることはないとの見解が示された。これは、美的がヒューマノイドを投入する一方で、既存の産業用ロボットの役割を重視する姿勢を示唆する。 業界構造への含意として、美的のヒューマノイド投入は、中国のロボットサプライチェーンの強みを活かした動きだ。広東省には16万社以上のロボット関連企業が存在し、世界のサプライチェーン企業の38%が中国に集中する。美的はその中で、KUKAの技術と自社の量産能力を組み合わせることで、ヒューマノイドのコスト競争力を高める可能性がある。 未確定の論点としては、MELoとMELaの具体的な生産台数や、KUKAとの役割分担、ヒューマノイドの量産時期が挙げられる。また、ヒューマノイドの実用化には、学習データの収集や安全性の確保が課題となる。

なぜ重要か

美的集団の順位浮上は、中国家電大手がロボティクスを含むB2B事業で成長を遂げていることを示す。KUKAを傘下に持ち、自社ヒューマノイドを投入する動きは、産業用ロボット市場における中国勢の存在感を高める可能性がある。

日本への影響

美的グループのヒューマノイド投入は、日本のロボット部品メーカーにとって競争圧力となる可能性がある。特に、RV減速機などの中核部品を内製化する動きは、日本の部品サプライヤーへの依存を減らす方向に働く。一方で、KUKAの技術を活用した高精度ロボットは、日本の自動車産業などでの需要が見込まれる。