何が起きたか

2026年、産業用ロボット市場で「四大家族」と呼ばれてきたファナック、ABB、安川電機、KUKAの中国市場シェアが急落した。2026年第1四半期、中国市場ではエストン、KUKA、インチュアン(匯川技術)が各10%で並び、ファナック9%、安川4%と続いた。国産ブランド全体のシェアは55%を超え、外資系は初めて過半数を割り込んだ。5年前は四社合計で60%超を占めていたが、ほぼ半減した。 各社の業績も明暗が分かれた。ファナックは2025年度売上高8578億円(約57億ドル)で過去最高を更新し、営業利益率21.4%を維持したが、中国シェアは20%超から9%に低下した。ABBは2024年にロボット事業で23億ドルを売り上げたが、営業利益率12.1%とグループ平均(16-18%)を下回り、2025年10月に同事業を53.75億ドルでソフトバンクに売却した。安川電機は2025年度のロボット部門売上高が2470億円(約16.5億ドル)と4%増えたものの、営業利益は0.5%減となり、中国シェアは4%にまで落ち込んだ。KUKAは美的グループの支援を受け、2025年に中国で3.2万台を出荷し30%超の成長を遂げたが、エストンやインチュアンと激しい競争を繰り広げている。 こうした中、各社は新たな戦略を打ち出している。ABBは売却後、2026年1月に中国の亜信科技と北京で具身智能(身体性AI)ラボを設立し、アリババクラウドとエヌビディアの技術基盤を活用。3月のGTCではエヌビディアと協力し、シミュレーションから実機への転移を実現した。上海スーパーファクトリーではタスク成功率が70-80%から99%に向上し、1ラインで20種以上の機種に対応。6月にはPSYONICと提携し、義肢ユーザーの操作データでロボットの把持能力を訓練している。ファナックは2026年5月、グーグルのGemini AIを初めて導入し、音声や手書き指示でロボットが自律的にタスクを実行できるようにした。

Key Facts

2026年第1四半期、中国市場でエストン、KUKA、インチュアンが各10%のシェアで並び、ファナック9%、安川4%となった。国産ブランド全体のシェアは55%を超え、外資系が初めて過半数を割り込んだ。[0]
ファナックの2025年度売上高は8578億円(約57億ドル)で過去最高を更新、営業利益率は21.4%。中国シェアは20%超から9%に低下した。[0]
ABBは2024年にロボット事業で23億ドルを売り上げたが、営業利益率12.1%とグループ平均(16-18%)を下回り、2025年10月に53.75億ドルでソフトバンクに売却した。[0]
安川電機の2025年度ロボット部門売上高は2470億円(約16.5億ドル)で4%増、営業利益は0.5%減。中国シェアは4%に低下した。[0]
KUKAは2025年に中国で3.2万台を出荷し、前年比30%超の成長。研究開発費は過去最高の2.13億ユーロに達した。[0]
ABBは2026年1月に亜信科技と北京で具身智能ラボを設立し、アリババクラウドとエヌビディアの技術基盤を活用。3月のGTCでエヌビディアとシミュレーションから実機への転移を実現した。[0]
ABB上海スーパーファクトリーのタスク成功率は70-80%から99%に向上し、1ラインで20種以上の機種に対応。6月にはPSYONICと提携し、義肢ユーザーのデータでロボットの把持能力を訓練している。[0]
ファナックは2026年5月、グーグルのGemini AIを初めて導入し、音声や手書き指示でロボットが自律的にタスクを実行できるようにした。[0]

なぜ重要か

産業用ロボット市場で30年にわたり支配的な地位を築いてきた四大家族の中国シェアが半減したことは、製造業の競争軸が「精度・速度・信頼性」から「AIによる自律判断」へと移行したことを象徴する。ABBがロボット事業を売却しつつもAI連携で再定義を図る一方、ファナックが初の外部AI導入に踏み切るなど、各社の戦略は物理AI時代の勝敗を左右する。この変化は、日本の製造業やロボット産業にも波及する可能性が高い。

日本への影響

日本のロボット大手であるファナックと安川電機の中国シェア低下は、日本企業の競争力低下を示す。特に安川の営業利益減少は、価格競争の激化を反映しており、日本国内の製造業にも影響が及ぶとみられる。また、ABBのAI活用事例は、日本のロボットメーカーにも新たな戦略の必要性を示唆している。