何が起きたか

RobotScope Pulseは2026年8月14日、靈心巧手が港股IPOの申請を2027年に延期したと報じた。

本紙の見方

靈心巧手のIPO延期は、霊巧手(器用な手)という部品市場の構造的な岐路を映す。同社は成立3年でB+ラウンドを2026年4月29日に完了し、2027年の申請時には時価総額1000億元(約1兆4000億円)を目指すとされる。一方、宇樹科技は2025年の売上高16.99億元、人型ロボットの出荷5500台超を達成し、霊巧手を自社開発している。外購部品はコストの14〜18%に過ぎず、モーターや減速機、エンコーダーまで内製化している。 この内製化戦略は、独立系霊巧手メーカーにとって致命的な圧力となる。宇樹は人型ロボットの単位コストを2022年の7万3200元から2025年には6万2200元に削減し、四足ロボットも2万2300元から1万2100元に下げた。規模の経済が働けば、自社製霊巧手のコストはさらに下がり、外注先の価格競争力は失われる。靈心巧手が2027年に申請を延期したのは、このコスト競争の波をかわす時間稼ぎとも読める。 本紙は過去に、Unitree上場後の株価下落、バブル懸念を呼ぶ 収益性と競争激化が焦点にで、宇樹の収益性と競争激化を報じた。宇樹は2026年第1四半期に売上高4億2284万元(前年比68.49%増)を確保したが、純利益は4025万元と半減した。研究開発費の増加と販売費の先行投資が響いた。それでも宇樹は人型ロボットの年産7万5000台、四足11万5000台の生産能力を計画し、6億2400万元を投じて自動生産ラインを建設する。この規模は、独立系サプライヤーが価格で対抗する余地を狭める。 靈心巧手の課題は、技術的な差別化か、宇樹のような大手への供給網参入の二択だ。しかし、宇樹が霊巧手を自社開発する以上、外部調達のハードルは高い。特許の質も問われる。宇樹は262件の特許を保有するが、国内発明特許は20件のみで、露韋美との訴訟では悪意の訴訟と認定された。靈心巧手も2027年までに特許ポートフォリオと顧客基盤、利益率を証明する必要がある。 詳細は原典を参照されたい。

なぜ重要か

霊巧手は人型ロボットの核心部品だが、大手が内製化を進めれば独立系の生存余地は狭まる。IPO延期は、この業界再編の前触れであり、投資家は技術の実証とコスト競争力を見極める必要がある。

日本への影響

日本の部品メーカーは、モーターや減速機などで高い技術を持つが、宇樹の内製化は外注依存を減らす方向に働く。日本のサプライヤーは、中国の大手が内製化を進める中で、差別化された高精度部品や新規顧客の開拓が求められる。