何が起きたか
米ボストンのRealtime Roboticsは2018年7月3日、全米科学財団(NSF)のSmall Business Innovation Research(SBIR)プログラムから22万5000ドルのフェーズI助成金を獲得したと発表した。この助成金は、自動運転車向けのリスク認識型モーションプランニングの研究開発に充てられる。同社は、既存ソリューションより数千倍高速にプランを生成できる専用コンピュータプロセッサを開発しており、これにより自動運転車が都市部の複雑なシナリオでも通常速度で走行できるようになるとしている。
詳細
Realtime Roboticsが開発する専用プロセッサは、既存ソリューションより数千倍高速にモーションプランを生成できる。この速度により、環境内の他のエージェント(車、自転車、歩行者)の異なる可能な行動を考慮した複数のプランを同時に生成できる。同社CEOのPeter Howard氏は、「この技術は自動運転車のゲームチェンジャーとなる。現在の自動運転車は高速道路では印象的だが、都市環境では低速でぎこちない。我々の技術により、自動運転車は人間のように、つまり通常速度で予測不可能な行動を計画しながら運転するが、はるかに優れたものになる」と述べている。NSFのSBIRフェーズI助成金は最大22万5000ドルで、フェーズIIでは最大75万ドル、さらに適格な第三者投資や売上と合わせて最大50万ドルの追加マッチング資金を受け取れる。NSFは毎年6月と12月にフェーズI提案を受け付けている。
Key Facts
| Realtime Roboticsは2018年7月3日、NSFのSBIRフェーズI助成金22万5000ドルを獲得したと発表した。 | [1] |
| 助成金は自動運転車向けのリスク認識型モーションプランニングの研究開発に充てられる。 | [1] |
| 同社は既存ソリューションより数千倍高速にモーションプランを生成できる専用プロセッサを開発している。 | [1] |
| NSFのSBIRフェーズI助成金は最大22万5000ドルで、フェーズIIでは最大75万ドル、さらに最大50万ドルの追加マッチング資金を受け取れる。 | [1] |
| NSFは毎年6月と12月にフェーズI提案を受け付けている。 | [1] |
本紙の見方
今回の発表は、自動運転車のモーションプランニングにおける計算基盤の革新を目指すもので、既存のソフトウェア中心のアプローチとは一線を画す。Realtime Roboticsは専用プロセッサというハードウェアレベルでの高速化を追求しており、これは自動運転の実用化における重要なボトルネックである都市部の複雑なシナリオでの応答性を解決しようとする試みだ。 本紙の過去報道では、DARPAのデュアルユース投資が民生市場形成に与えた影響を分析した。DARPAの研究がインターネットのような約5兆米ドル規模の市場を生み出した事例は、政府の初期資金が技術の実用化と市場創出に果たす役割を示している。今回のNSFのSBIR助成金も同様の構図で、政府のシード資金が革新的な技術の商業化を後押しする一例と言える。NSFは年間2億米ドルをスタートアップに助成しており、その中でRealtime Roboticsの技術がどのように発展するかは、政府資金がハードウェア技術の実用化に与える影響を測る一つの指標になる。 業界構造への含意として、自動運転のモーションプランニングは通常、ソフトウェアアルゴリズムの改良で対応されてきたが、専用プロセッサによるハードウェアアクセラレーションは、処理速度の飛躍的向上をもたらす可能性がある。これにより、自動運転車のセンサーや計算資源の構成が変わり、半導体設計や車載コンピュータのサプライチェーンに影響を与える可能性がある。また、同社の技術が実用化されれば、都市部での自動運転の安全性と快適性が向上し、一般消費者の受容性が高まる可能性がある。 未確定の論点としては、同社のプロセッサが実際に量産される時期や、自動車メーカーへの供給契約が結ばれるかどうかが挙げられる。また、NSFのフェーズII助成金を獲得できるかどうかも、技術の商業化に向けた重要なマイルストーンとなる。さらに、この技術が他のモーションプランニング手法と比較してどの程度の性能差を発揮するかは、実証データが待たれる。
なぜ重要か
この助成金は、自動運転の実用化における計算基盤の革新を目指す取り組みであり、政府のシード資金がハードウェア技術の商業化を後押しする一例となる。Realtime Roboticsの専用プロセッサが実用化されれば、都市部での自動運転の安全性と快適性が向上し、自動運転車の普及を加速させる可能性がある。