何が起きたか
PFNは2026年10月13日から16日まで幕張メッセで開かれる「CEATEC 2026」で、子会社Preferred Roboticsが展開する小型AMR「Kachaka Evo(カチャカEvo)」の実機デモンストレーションを披露した。カチャカEvoは100kg可搬で、既存の台車や棚をそのまま運搬できるとしている。Preferred Roboticsは2026年10月1日に正式販売開始と、2026年10月からの順次出荷を発表している。
詳細
Preferred Roboticsのプレスリリースによると、カチャカEvoは昇降リフト方式を採り、現場で使っている台車や棚の下に潜り込んで持ち上げて搬送する。磁気テープやマーカは不要で、SLAM方式によりレイアウト変更にも対応するとしている。 本体高さは191mm、幅380mmで、最小500mm幅の狭小通路を走行できる。PCやスマートフォンで設定でき、専門業者は不要としている。
Key Facts
| PFNはCEATEC 2026(2026年10月13日~10月16日、幕張メッセ)で「Kachaka Evo(カチャカEvo)」の実機デモを披露した。 | [2] |
| Preferred Roboticsは2026年10月1日に100kg可搬の国産AMR「カチャカEvo」の正式販売開始と、2026年10月からの順次出荷を発表した。 | [1] |
| カチャカEvoは100kg可搬で、昇降リフト方式を採用する。 | [1] |
| カチャカEvoは本体高さ191mm、幅380mmで、最小500mm幅の狭小通路を走行できる。 | [1] |
| 磁気テープ・マーカ不要のSLAM方式を採用し、PC・スマートフォンで設定完了としている。 | [1] |
本紙の見方
カチャカEvoのニュースでまず重要なのは、PFNがCEATEC 2026で見せたのが研究段階の概念ではなく、Preferred Roboticsが10月1日に正式販売開始を公表した製品の実機デモだという点である。100kg可搬、昇降リフト方式、磁気テープ不要のSLAM、幅380mm・高さ191mm、最小500mm幅通路対応という仕様は、展示の見せ場であると同時に、現場導入の条件をかなり具体的に示している。つまり焦点は「動くか」ではなく、「既存設備のままどの範囲の搬送を置き換えられるか」に移っているとみられる。 本紙の関連記事である経産省とNEDOのGENIAC、ロボット基盤モデル開発支援で13社・グループ採択を報告では、ロボット基盤モデルの鍵として現場データの整備と触覚を含む作業データ収集が示されていた。これに対し、今回のカチャカEvoは、基盤モデルの議論より一段下流の搬送自動化に属する製品であり、データ収集よりも既存の台車・棚をどう運ぶかという実装に重心がある。PFNグループとしては、基盤モデル研究と実機製品の両方を持つ構図だが、両者が同じ技術系譜でどの程度接続しているかは、外からはまだ読み切れない。 業界構造上の含意は、搬送ロボットの差別化軸が「高機能化」だけでなく、導入初日から使えるか、レイアウト変更に追随できるかに寄っている点である。磁気テープやマーカを要しないSLAM方式、PC・スマートフォンでの設定完了という仕様は、現場側の設置・保守コストを抑える方向に働く。一方で、100kg可搬と狭小通路対応が実運用でどの程度の稼働率を出すか、複数現場での運用知見がどこまで汎用化できるかはまだ確認が必要だ。 次に確認すべき論点は、正式販売開始後の出荷台数、実導入先での稼働条件、棚や台車の種類ごとの適合範囲、SLAM方式の運用上の制約である。展示デモと販売開始は確認できたが、量産面の実力はまだ製品仕様だけでは判断できない。
なぜ重要か
Preferred Roboticsが100kg可搬、昇降リフト方式、磁気テープ不要のSLAMを備えたカチャカEvoを正式販売に移し、PFNがCEATEC 2026で実機を示したことで、搬送自動化が「導入しやすさ」を前面に出した製品競争に入っていることが分かる。既存の台車や棚をそのまま運搬できるという設計は、現場のレイアウト変更を前提にしない導入を求める事業者に関係する。
日本への影響
日本の工場・倉庫では、既存の台車や棚を使い続けながら搬送を自動化したい需要があるため、100kg可搬で磁気テープ不要という仕様は導入条件に合う可能性がある。一方で、日本国内でのAMR競争では、狭小通路対応や設定容易性だけでなく、現場ごとの運用ノウハウと保守体制が差になるとみられる。