何が起きたか

NVIDIAは2026年3月19日付のGTC 2026ライブ更新で、3月16日の基調講演における発表を報じた。中心となるVera Rubinは7つのチップ、5つのラック規模システム、1台のスーパーコンピューターで構成するエージェント型AI向け計算プラットフォームだ。次世代アーキテクチャFeynmanも発表し、フィジカルAIでは自動車メーカーやロボティクス企業との協業を紹介した。

詳細

Vera Rubinは、新CPUのVeraとBlueField-4 STXストレージアーキテクチャを含む。NVIDIAは、ソフトウェアまで含めたシステム全体を垂直統合し、最適化する構想として説明した。Feynman世代ではCPUのNVIDIA Rosaに加え、LP40 LPU、BlueField-5、CX10をNVIDIA Kyberで接続する構成を示した。AIファクトリー向けにはVera Rubin DSX AI FactoryリファレンスデザインとOmniverse DSX Blueprintを発表し、DSX Airで建設前のAIファクトリーをソフトウェア上でシミュレーションできるとしている。 フィジカルAIでは、BYD、Hyundai、Nissan、Geelyを新たな自動車メーカーのパートナーとして挙げ、Uberとの協業や、ABB、Universal Robots、KUKAとの取り組みも紹介した。基調講演では、Olafのデモについて、フィジカルAIスタック、Newton物理エンジン、Omniverseによるシミュレーションを利用したと説明した。

Key Facts

NVIDIAのライブ更新は2026年3月19日付で、基調講演は3月16日に行われた。[1]
Vera Rubinは7つのチップ、5つのラック規模システム、1台のスーパーコンピューターで構成する。[1]
Feynman世代にはNVIDIA Rosa CPU、LP40 LPU、BlueField-5、CX10が含まれ、NVIDIA Kyberで接続する構成が示された。[1]
NVIDIAはVera Rubin DSX AI FactoryリファレンスデザインとOmniverse DSX Blueprintを発表し、DSX AirによるAIファクトリーの事前シミュレーションを説明した。[1]
フィジカルAI関連の協業先として、BYD、Hyundai、Nissan、Geely、Uber、ABB、Universal Robots、KUKAが挙げられた。[1]

本紙の見方

今回のGTCで示された規模の軸は、単体チップの性能より、Vera Rubinを7チップ・5ラック規模システム・スーパーコンピューターまでまとめた計算基盤にある。Feynmanはその次の世代として位置づけられ、CPU、LPU、ネットワーク、ストレージを含む構成が示された。したがって新しさは、複数の部品を一つのAI計算システムとして設計する範囲を明示した点にある。一方、CUDAやアクセラレーテッドコンピューティングを軸にソフトウェアとシリコンを共同設計する方針は、基調講演で語られた既存の延長でもある。 AIファクトリーのリファレンスデザインとDSX Airは、計算設備を導入する前の設計・シミュレーション工程を製品群に組み込む。フィジカルAIではOmniverse上のシミュレーションからロボットや自動運転車の実環境への展開を描くが、ライブ更新で紹介された協業やデモは、個々の導入規模や稼働実績を示すものではない。GTCでNVIDIAのCEO Jensen Huangは、計算需要が数年間で100万倍に増えたとの見方と、2025年から2027年までに少なくとも1兆ドルの売上があるとの見通しを述べた。これらは同氏の主張・見通しとして読み分ける必要がある。 計算資源の供給という観点では、Reuters、香港にNVIDIA H200約60万基が滞留と報道 中国の輸入承認待ちが伝えた在庫の存在と、実際に利用可能な計算能力は別の問題である。今回の発表はラックやシステムの設計を示すが、発表された構成がどの程度供給・稼働するかまでは説明していない。ロボット製品の紹介と実環境での性能検証を分ける必要性は、Humanoid.Guide、Geek+の車輪型ヒューマノイド「Gino 1」を紹介にも通じる。 業界構造への含意は、NVIDIAが計算基盤、工場設計用シミュレーション、フィジカルAIモデル・ツールをつなぐ構想を提示したことにある。ただし、外部企業がどの範囲で利用できるか、ロボットの実運用データをどう集めて再学習へ戻すか、システム全体の費用や電力、実稼働時の安全性は、このライブ更新だけでは判断できない。次に確認すべきなのは、各世代の供給時期と実際の導入規模、DSX Airの利用条件、協業先ごとの実装範囲である。

なぜ重要か

NVIDIAの発表は、AI計算設備の設計をチップ単体ではなく、ラック規模のシステムや事前シミュレーションまで含めて扱う構成を示した。AIファクトリーの導入を検討する事業者にとって設計・検証の選択肢となり得るが、リファレンスデザインやデモの提示だけでは、実運用の費用・稼働率・性能を裏付けない。