何が起きたか

日産自動車は2026年9月14日、自動運転モビリティサービスの実証を拡大し、2025年度の5台から2026年度は10台に倍増すると発表した。2027年度のレベル4サービス導入を見据えた取り組みである。実証は神奈川県横浜市のみなとみらい、大さん橋、関内の市街地エリアで、2026年10月1日から12月18日までの間に2期に分けて実施する。

本紙の見方

今回の焦点は、日産が自動運転の実証を続けること自体ではなく、運行台数を2025年度の5台から2026年度の10台へ倍増させた点にある。数字だけ見れば拡大型の実証だが、内容は依然としてレベル2の車両を使ったサービス検証であり、2027年度のレベル4導入に向けた準備段階という位置づけは変わらない。つまり、事業の新規性よりも、都市部での運行オペレーションをどこまで積み上げられるかが主眼だとみられる。 本紙の関連記事である 日産セレナベースの自動運転開発車両、9月上旬から東京でテスト走行へ は、東京でのテスト走行を扱っていた。今回の横浜市実証は、同じくセレナ系の車両を使いながらも、一般市街地での実運行に近い検証へと比重を移している点が異なる。東京の開発走行と横浜のサービス実証が並ぶことで、日産は車両開発と運行設計を別々ではなく連続した工程として進めている構図が見える。 業界構造の観点では、今回の実証は車両単体の性能よりも、遠隔監視、通信、乗客対応を含む運行インフラの組み合わせが重要になる。KDDI、Moplus、プレミア・エイドがそれぞれ通信や支援、遠隔対応を担うとされており、自動運転サービスは車両メーカーだけで完結しないことを示す。レベル4に向けて確認すべき論点は、10台運行を通じてどこまで定常運行に近づけるか、2期の実証で運用条件がどう変わるか、そして2027年度のサービス導入時にどの範囲まで無人化できるかである。 加えて、今回の実証はみなとみらい、大さん橋、関内という市街地エリアに限定されている。したがって、今後の焦点は郊外や別都市への横展開ではなく、同一エリア内での運行密度、乗車体験、遠隔対応の安定性をどう確認するかに移るとみられる。レベル4導入の可否は、台数の増加だけでなく、こうした実証結果を踏まえた運行ルールの具体化にかかっている。

なぜ重要か

日産が2026年度に10台へ増やすのは、レベル4サービスの前段として運行体制を広げるためだと読める。車両開発だけでなく、KDDIやMoplus、プレミア・エイドを含む運行支援の枠組みを組み合わせている点は、実証の評価軸が車両性能だけではないことを示している。

日本への影響

日本では、車両メーカーが自動運転を進める際に、通信や遠隔監視、乗客対応を含む運行設計をどう組むかが重要になるとみられる。今回の日産の実証は、その分業の形を示しており、既存の自動車産業にとっては車両以外の運行支援機能の整備が論点になる。