何が起きたか

MOVAは2026年3月13日、AWEで「Infinite Smart Universe」を発表した。展示規模は前年比6倍で、768㎡の「Infinite Smart Living Pavilion」と744㎡の「Immersive Technology Experience Pavilion」を設置した。掃除分野からキッチン家電、コンシューマーエレクトロニクス、eVTOLまで多分野に拡大し、自社チップを初公開した。

詳細

MOVAはAWE 2026で、掃除ロボットの新製品群を発表した。ロボット掃除機「Pilot 70」はドローンと輸送モジュールを統合し、2階やバルコニーなどへの移動を可能にする。フラッグシップ「Z70 Pro」は、物体をラベル付けして掃除戦略をカスタマイズできる「InfiniteEye™」技術、6,400mAhバッテリーと30%高速充電を実現する「Smart-Protect Fast Charging Technology」、壁接触時にローラーを10mm引っ込める「AI-Powered Dynamic Edge Technology」を搭載する。床洗浄機「X60 Ultra」は200°Cスチームと90°C温水の二重モードを備え、9.9cmの薄型ボディで端まで掃除できる。掃除機「Z200 Ultra」は大容量ダストバッグを内蔵し、45日間メンテナンスフリーを実現する。窓掃除ロボット「T1 Station」は40°Cの温水洗浄と「NooksErasing™」エッジ技術を搭載する。また、3Dプリンタ「Palette 300」は12ノズルで36色に対応し、太陽光発電システム「LumeGret A4000」は最大3600WのPV入力と4〜20kWhの蓄電に対応する。

Key Facts

MOVAはAWE 2026で、前年比6倍の展示規模となる768㎡の「Infinite Smart Living Pavilion」と744㎡の「Immersive Technology Experience Pavilion」を公開した。[1]
MOVAは自社チップを初公開した。[1]
ロボット掃除機「Pilot 70」はドローンと輸送モジュールを統合し、2階やバルコニーなどへの移動を可能にする。[1]
フラッグシップ「Z70 Pro」は、物体ラベル付け機能「InfiniteEye™」、6,400mAhバッテリー、30%高速充電技術、壁接触時にローラーを10mm引っ込める技術を搭載する。[1]
床洗浄機「X60 Ultra」は200°Cスチームと90°C温水の二重モードを備え、9.9cmの薄型ボディを実現する。[1]

本紙の見方

MOVAの今回の発表は、掃除ロボットの単品改良ではなく、家電エコシステム全体への戦略転換を示す。展示規模の6倍拡大と2つのパビリオン構成は、同社が「掃除の専門家」から「スマート生活の設計者」へと舵を切ったことを象徴する。特に注目すべきは、自社チップの初公開だ。これは、ソフトウェアとハードウェアの垂直統合を進める姿勢の表れであり、他社との差別化を図る意図がうかがえる。 本紙が既報の通り、フューチャースタンダードは既存防犯カメラをAIエージェント化する「Smart Rounds」を一般提供開始した(2026年8月20日付)。これは既存インフラを活用してAI機能を追加する点で、MOVAの「Pilot 70」が既存の掃除ロボットにドローンを組み合わせるアプローチと通じる。両社とも、ハードウェアの刷新だけでなく、既存製品や環境をAIで拡張する戦略を取っている。 また、EUのSMARTEDGEプロジェクトはエッジAIでロボット群知能を開発している(2025年5月26日付)。これはロボット同士の群れ制御を目指すもので、MOVAの「Infinite Smart Universe」が家電同士の連携を重視するのと対照的だ。MOVAは現時点で個々の製品をスマート化する段階だが、将来的には家電同士が連携する「群れ」のような動作が求められる可能性がある。 業界構造への含意として、MOVAの多分野展開は、家電業界における「エコシステム競争」の激化を示す。特に、3Dプリンタや太陽光発電システムへの進出は、従来の家電メーカーの枠を超えた動きだ。これは、単品の性能競争から、複数製品を連携させた生活全体の提案競争への移行を意味する。 一方で、MOVAの戦略には不確定要素も多い。まず、自社チップの詳細な仕様や性能が公開されておらず、他社製チップとの差別化が不明だ。次に、eVTOLを含む新分野での具体的な製品化時期や販売計画が示されていない。最後に、エコシステム全体の収益モデルが明確でない。これらの点を今後確認する必要がある。

なぜ重要か

MOVAの「Infinite Smart Universe」は、家電業界が単品の性能競争からエコシステム競争へ移行する流れを象徴する。自社チップの公開は、垂直統合による差別化戦略の表れであり、今後の家電メーカーの競争軸が変わる可能性を示唆する。

日本への影響

MOVAの多分野展開は、日本の家電メーカーにとっても競争環境の変化を意味する。特に、ロボット掃除機の分野では、MOVAの「Pilot 70」のようなドローン統合型の新製品が登場しており、日本のメーカーは技術開発で追随する必要がある。また、自社チップの開発は、半導体調達の内製化圧力を高める可能性があり、日本の部品メーカーにとっては供給先の多様化につながる。