何が起きたか

LG電子は2026年6月30日、CEO直轄のロボット事業センターを設立すると発表した。7月1日付で発足し、事業開発から販売・運営までを一貫して担う。ソウルのヤンジェR&Dキャンパスに大規模データファクトリーを建設し、年内稼働を予定。ロボット基盤モデル(RFM)の高度化を図る。

詳細

ロボット事業センターは、CEOのリュ・ジェチョル氏に直轄報告する。責任者には、LGの生産技術研究院で主要なリーダーシップを務めたソン・シヨン氏が就く。センターは「One LG Solution」戦略の下、LG CNSやLG AIリサーチなど系列会社の能力を結集する。ロボット事業のポートフォリオは、家庭用ロボットに加え、Robostarの産業用ロボット、Bear Roboticsの商業用ロボットを統合する。アクチュエーターの国内生産も準備しており、60年以上のモーター技術を活用する。

Key Facts

LG電子は2026年6月30日、CEO直轄のロボット事業センターを設立すると発表した。7月1日付で発足する。[1]
ロボット事業センターは、事業開発、販売、運営を一貫して担うエンドツーエンドの事業組織で、ソン・シヨン氏が率いる。[1]
ソウルのヤンジェR&Dキャンパスに大規模データファクトリーを建設し、年内に稼働を開始する。[1]
LGはロボット基盤モデル(RFM)を高度化するため、データファクトリーで収集した高品質な運用データを活用する。[1]
LGはアクチュエーターの国内生産を準備しており、60年以上のモーター技術を活用する。[1]

本紙の見方

LG電子が今回発表したロボット事業センターの設立は、同社のPhysical AI戦略を加速させる組織改編と位置づけられる。特徴的なのは、データファクトリーを専任組織として立ち上げ、ロボット基盤モデル(RFM)の訓練データを自前で確保する点だ。ロボットの性能は実世界のデータ量と質に依存するため、データファクトリーの内製化は競争優位性を左右する。LGはCES 2026で発表した家庭用ロボット「LG CLOiD」を皮切りに、産業用(Robostar)、商業用(Bear Robotics)とポートフォリオを拡大しており、今回のセンターはそれらを統括する司令塔となる。 本紙の過去報道では、NVIDIAがエッジ向け世界モデル「Cosmos 3 Edge」を公開し、ロボットの実時間推論を可能にしたことを報じた。LGはNVIDIAのロボットプラットフォームを活用し、2027年第1四半期に人型ロボットを投入する計画があるとされる(二次報道)。データファクトリーで収集したデータは、こうしたロボットの基盤モデル訓練に使われるとみられ、NVIDIAの世界モデルとLGのRFMがどのように連携するかが焦点になる。 業界構造への含意として、LGがアクチュエーターの国内生産を準備している点は重要だ。アクチュエーターはロボットの関節に相当し、コストと性能の要となる部品である。LGは60年以上のモーター技術を活かし、部品の内製化を進めることで、サプライチェーンを強化し、コスト競争力を高める狙いがある。これは、ロボット部品の多くを海外に依存する日本の産業界にとって、競争圧力となる可能性がある。 未確定の論点としては、データファクトリーの具体的な規模(データ量や処理能力)や、RFMの性能目標が明らかにされていない。また、アクチュエーターの生産開始時期や生産能力も未公表である。さらに、NVIDIAとの協業が具体的にどのような形で進むのか、2027年の人型ロボット投入計画との整合性も確認が必要だ。

なぜ重要か

LG電子がロボット事業をCEO直轄の組織に格上げし、データファクトリーを内製化する動きは、ロボット産業の競争軸がハードウェアからデータと基盤モデルに移行していることを示す。部品の内製化も含めた垂直統合戦略は、今後のロボット市場の勝敗を分ける可能性がある。

日本への影響

LGがアクチュエーターの国内生産を準備していることは、日本のロボット部品産業にとって競争圧力となる。日本のモーター技術は強みを持つが、LGが60年以上の技術を活かして量産体制を整えれば、価格競争が激化する可能性がある。また、データファクトリーの内製化は、ロボットの学習データの重要性を示しており、日本企業もデータ収集と基盤モデル開発への投資が求められる。