何が起きたか

JD.comは2025年8月8日、北京で開幕した世界ロボット会議で「智能機器人産業加速計画」を発表した。投資規模は100億元(約10億ドル)で、物流・小売の既存事業との連携を狙う。同社は第2四半期に純売上高3567億元、営業利益率4.5%を記録しており、新規事業への投資余力を示した。

詳細

JD.comは2025年8月8日、北京で開幕した世界ロボット会議で「智能機器人産業加速計画」を発表した。投資規模は100億元(約10億ドル)で、物流・小売の既存事業との連携を狙う。同社は第2四半期に純売上高3567億元、営業利益率4.5%を記録しており、新規事業への投資余力を示した。

Key Facts

JD.comの2025年第2四半期の純売上高は3567億元(前年同期比22.4%増)、JD Retailの営業利益率は4.5%(過去最高)。[1]
JD Logisticsは2025年6月末時点で130以上の保税・直郵・海外倉庫を運営し、総管理面積は130万平方メートル超、23カ国・地域に展開。[1]
JD Logisticsは2025年6月にサウジアラビアで自社運営の宅配ブランド「JoyExpress」を開始。[1]
JD.comは2025年4月15日、3C電子製品向け「One Step Ahead」プログラムを開始し、AIグラスや具身智能ロボットなどの新興カテゴリーの販売を強化。[1]

本紙の見方

JD.comが発表した100億元規模の「智能機器人産業加速計画」は、同社の物流・小売事業とロボット産業を結びつける戦略とみられる。JD.comは第2四半期に純売上高3567億元、JD Retailの営業利益率4.5%を記録し、財務基盤は堅調だ。同社は既に物流倉庫で「Zhilang」システムを導入し、搬送ロボットや昇降ロボットを活用した高密度保管を実現している。今回の計画は、こうした物流現場でのロボット活用をさらに進めると同時に、ロボットメーカーへの販路提供や部品供給など、エコシステム全体の育成を狙うとみられる。 本紙はこれまで、中国のヒューマノイドロボット産業について、北京の天工Ultra、100mを8.64秒で走破 3度目の記録更新も停止に課題(2026年8月28日)で、運動能力の進展と停止制御の課題を報じた。また、中国ヒューマノイド、労働代替はまだ遠い 専門家が懐疑的 訓練データ生成に課題(2026年8月27日)では、訓練データ生成の効率性に課題があると指摘した。JD.comの計画は、こうした産業の課題に対して、物流・小売という実需を提供することで解決を図る試みと位置づけられる。 一方、Unitree上場後の株価下落、バブル懸念を呼ぶ 収益性と競争激化が焦点に(2026年8月25日)で報じたように、Unitreeの株価下落はロボット産業への過度な期待と現実のギャップを示している。JD.comの計画が実効性を持つかは、投資対象の選定と、物流・小売での具体的な導入効果にかかっている。 業界構造への含意として、JD.comの参入は、ロボットメーカーにとって新たな販路と資金源となる可能性がある。特に、物流倉庫での需要は、ヒューマノイドだけでなく、搬送ロボットやピッキングロボットなど多様な形態に広がる。JD.comの物流網は海外にも展開しており、海外市場への輸出も視野に入る。 今後確認すべき点は、第一に、100億元の具体的な使途(研究開発支援か、量産支援か、販路開拓か)が明らかになるか。第二に、JD.comがどのロボットメーカーと提携し、どのようなロボットを自社の物流・小売に導入するか。第三に、この計画がUnitreeなど既存のロボットメーカーの事業戦略にどのような影響を与えるか、である。

なぜ重要か

JD.comの100億元投資は、中国のロボット産業が「作る」段階から「使う」段階へ移行する兆候を示す。物流・小売という実需を背景に、ロボットの量産と実用化が加速する可能性がある。

日本への影響

JD.comの計画は、物流倉庫でのロボット活用を拡大するもので、日本の物流業界にとっても競争圧力となる。特に、JD Logisticsが海外倉庫を23カ国・地域に展開しており、日本市場にも影響を与える可能性がある。