何が起きたか

株式会社日立ハイテクアナリシスは2026年9月1日、紫外可視近赤外分光光度計「UH9000シリーズ」を発売した。製品ラインアップは「UH9100」と「UH9200」の2機種で、従来機種「UH4150シリーズ」の平行光束設計を継承し、自動偏光子ホールダやマルチスキャン機能を新たに搭載する。同社はこれにより、作業工数を約55%削減、測定所要時間を約18%短縮するとしている。

詳細

「UH9000シリーズ」は、固体試料の分光特性を高精度かつ効率的に測定する。光学系に平行光束設計を採用し、正反射測定での入射角の均一性を確保する。自動偏光子ホールダ(オプション)により、PC画面上で偏光子の角度(0度、45度、90度)を設定でき、自動切り替えが可能。試料室の扉の開閉を検知して自動で測定を開始するインテリジェントスタート機能も搭載する。主な仕様として、UH9100は測定可能波長範囲が直入射検知器付属装置で185~3,300 nm、UH9200はInGaAs検知器を搭載し近赤外域の高感度化を実現、測定可能波長範囲は185~1,800 nm。質量はUH9100が161 kg、UH9200が162 kg。2026年9月2日から9月4日まで幕張メッセで開催される「JASIS2026」に実機およびパネル展示を行う予定。

Key Facts

日立ハイテクアナリシスは2026年9月1日、紫外可視近赤外分光光度計「UH9000シリーズ」を発売した。[1]
「UH9000シリーズ」は「UH9100」と「UH9200」の2機種で、従来機種「UH4150シリーズ」の平行光束設計を継承する。[3]
自動偏光子ホールダとインテリジェントスタート機能により、作業工数を約55%削減、測定所要時間を約18%短縮する。[3]
2026年9月2日から9月4日まで幕張メッセで開催される「JASIS2026」に実機およびパネル展示を行う予定。[3]

本紙の見方

今回の発表は、日立ハイテクが進める「HMAX Industry」戦略の一環として、測定装置のデジタライズドアセットを拡充するものだ。新型分光光度計は、従来機種の光学設計を継承しつつ、自動化機能を強化することで、測定業務の効率化と精度の安定化を図る。特に、自動偏光子ホールダによる偏光子角度の自動切り替えは、従来手作業で行っていた工程を削減し、作業工数を約55%削減するという具体的な効果を示す。これは、測定装置のユーザーである研究開発や品質管理の現場において、人手不足や熟練者依存からの脱却につながる可能性がある。本紙は2026年8月20日に、日立ハイテクがフィジカルAIを活用した全固体電池向け正極活物質のコーティング最適化支援を発表したことを報じた。その際、HMAX IndustryのラインアップとしてLab to Fabにおける開発・量産化の期間短縮を目指すとしていた。今回のUH9000シリーズは、そのHMAX Industryの基盤となる測定データを高精度かつ効率的に取得するための装置であり、フィジカルAIの入力データの質を高める役割を担う。つまり、コーティング最適化のような特定の工程支援から、測定装置そのものの高度化まで、HMAX Industryの全体像が徐々に具体化しているとみられる。業界構造への含意としては、分光光度計市場における競争が、単なる測定精度の向上から、自動化・効率化機能の充実へとシフトしていることが挙げられる。日立ハイテクは国内トップシェアを維持してきたとされるが、今回の新シリーズは、作業工数削減という明確な数値目標を掲げることで、ユーザーの業務負荷軽減を訴求する。これは、測定装置の選定基準が、性能だけでなく、運用コストや省人化効果にも及んでいることを示す。一方で、未確定の論点としては、実際の販売台数や市場での受容性が挙げられる。同社は作業工数削減効果を「当社評価条件による」と注記しており、実際のユーザー環境での効果は検証が必要だ。また、自動偏光子ホールダがオプション品であることから、標準構成での価格競争力や、既存ユーザーの買い替え需要をどの程度取り込めるかが焦点になる。さらに、HMAX Industryとの連携において、本シリーズで取得したデータが具体的にどのようなAI解析に活用されるのか、今後のソリューション展開が注目される。

なぜ重要か

日立ハイテクが測定装置の自動化を進めることは、フィジカルAIの実用化に向けたデータ基盤の強化を意味する。高精度な測定データを効率的に取得できるようになれば、AIによる材料開発や品質管理の精度向上が期待される。また、作業工数の削減は、測定現場の省人化につながり、製造業の生産性向上に寄与する可能性がある。

日本への影響

日本の分析装置メーカーが、自動化機能を強化した新型分光光度計を投入することで、国内の材料開発や品質管理の現場における測定効率の向上が期待される。特に、自動偏光子ホールダやマルチスキャン機能は、熟練技術者に依存せず安定した測定を可能にするため、日本の製造業が直面する技術者不足への対応策として有効とみられる。