何が起きたか

GXO LogisticsとAgility Roboticsは2026年10月26日、米国のStatesville(ノースカロライナ州)とLebanon(テネシー州)の施設に、ヒューマノイドロボット「Digit」を展開すると発表した。導入は2027年初めにDigit 4で始め、Digit 5が商用提供可能になった段階で移行する。先行拠点のFlowery Branchでは、Digitが10万個超のトートを搬送した。

詳細

新たな2拠点では、電子商取引のフルフィルメント業務における反復性の高いマテリアルハンドリングをDigitが支援する。両社は2023年後半にFlowery Branchで実証を始め、2024年6月に複数年のRobots-as-a-Service(RaaS)契約を締結。同拠点ではDigitが既存の自動化設備とともに作業し、トートをコンベヤーに載せている。契約には、ロボット群の管理と顧客業務への統合を担うクラウド基盤「Agility Arc」も含まれる。 Agility Roboticsは、商用運用と顧客プログラムを合わせたDigitの実環境稼働が6万5,000時間を超えたとしている。同社の製造施設RoboFabはオレゴン州Salemにあり、敷地面積は70,000平方フィート、年間生産能力は最大10,000台。Agilityは製造に加え、ソフトウェア、導入、サービスの体制も商用展開を支える基盤として挙げた。

Key Facts

GXO LogisticsとAgility Roboticsは2026年10月26日、StatesvilleとLebanonへのDigit展開拡大を発表した。[1]
新拠点での導入は2027年初めにDigit 4で始まり、Digit 5が商用提供可能になった段階で移行する予定だ。[1]
Flowery BranchではDigitが10万個超のトートを搬送した。[1]
Digitの実環境稼働は、商用運用と顧客プログラムを合わせて6万5,000時間を超える。[1]
RoboFabは70,000平方フィートの製造施設で、年間生産能力は最大10,000台とされる。[1]

本紙の見方

今回の拡大で新しいのは、Digitの機能を新たに示したことより、実稼働してきたFlowery Branchの運用をStatesvilleとLebanonへ広げる点だ。対象作業は電子商取引のフルフィルメントにおける反復的な搬送であり、汎用作業全般への展開を示す発表ではない。まずDigit 4を導入し、Digit 5の商用提供後に移行する計画からは、既存機種で拠点展開を進めながら次世代機へ切り替える構成が読み取れる。 これは2023年後半の実証、2024年6月の複数年RaaS契約に続く段階である。Flowery Branchでの10万個超の搬送実績は、単一拠点の試験から複数施設での運用へ進む根拠として両社が示した数字だ。ただし、StatesvilleとLebanonでの台数や作業量、稼働率は発表されていない。複数拠点への展開が、拠点ごとの設備・業務条件の違いに対してどの程度同じ運用を再現できるかが、次の評価点になる。 事業構造では、ロボット本体だけでなく、Agility Arcによる群管理・業務統合、RoboFabの年間最大10,000台の生産能力、導入・サービス体制が並ぶ。これは製造から現場運用までをつなぐ供給側の構成だ。一方、RoboFabの能力値は今回の2拠点への割当台数を示すものではなく、施設の生産能力と個別展開の規模は分けて見る必要がある。運用面では、Digitが既存の自動化設備と並行してトートをコンベヤーへ載せている点が、全面置換ではなく既存工程への組み込みを軸とする今回の対象業務を示している。 本紙が扱ったAgility Robotics、Digit 5の車載計算基盤をNVIDIA IGX Thorに統一(2026年10月22日)やAgility Robotics、Digit 5の急速充電対応を発表 9分充電で約90分稼働(2026年10月15日)は、次世代機の計算基盤と充電仕様を扱った。今回の発表は、それらの機体側の要素とは別に、実際の物流施設でどの機種をいつ使うかを示す運用計画である。Digit 5への移行時期は「商用提供可能になった段階」とされ、具体的な日程は示されていない。今後は各拠点の導入台数、稼働率、搬送実績、既存自動化設備との分担を確認する必要がある。

なぜ重要か

GXOの発表では、Digitの対象業務は電子商取引のフルフィルメントにおける反復的なマテリアルハンドリングで、Flowery Branchでは既存の自動化設備と並行して作業している。物流事業者にとっては、ロボット単体の性能だけでなく、既存工程への組み込みと複数施設での運用実績が導入判断に関わる。