何が起きたか

中国政府側は、レベル3(条件付き運転自動化)以上の自動運転機能が作動している状態で交通違反や事故が起きた場合、ドライバーや車両オーナーではなく自動車メーカーや開発業者が責任を負うとする改正案を全国人民代表大会常務委員会へ提出した。掲載記事によると、改正案は9月26日締切のパブリック・コメントを経て成立する見通しである。レベル3以上の機能をオフにしている場合や、運転支援機能しか持たない車両には従来ルールが適用される。

本紙の見方

今回の改正案で新しいのは、完全自動運転に近い状態での違反・事故の責任を、運転者からメーカー側へ切り替える点である。他方、レベル3以上でも機能を切っていれば従来通り、レベル2相当の運転支援しかない車両も従来通りという点では、適用範囲はかなり限定されている。つまり、制度変更は広範な自動運転車全体というより、作動中の高機能システムに責任を集中させる設計だと読める。 本紙の過去報道との接続はないが、公開された内容だけを見ると、論点は「誰が運転したか」ではなく「システムが作動していたか」をどう立証するかに移る。記事が指摘するように、メーカー側にはセンサーデータや運行記録の保存・管理が求められるため、責任法制と車載ログ設計が一体で問われる。ここでは自動運転の性能競争よりも、事故時に検証可能なデータ基盤を車両側へ組み込めるかが焦点になる。 業界構造への含意としては、車両制御ソフトだけでなく、記録装置、データ保全、監査対応まで含めた製品設計が重要になる。中国市場でレベル2相当の普及率が7割を超える一方、責任の切り分けはレベル3以上に限定されるため、メーカーは高機能車にだけ追加の法務・技術要件を上乗せすることになる。これにより、同じ自動運転関連でも、支援機能中心の量産車と高機能自動運転車で設計思想が分かれる可能性がある。 未確定の論点は、改正案の最終成立後に、運行ログの保存期間や形式、事故認定の手順、メーカーと開発業者の責任分担がどう定義されるかである。記事本文には、違反認定の具体基準や、レベル3以上のどの機能までを対象にするかの細則は示されていない。

なぜ重要か

この改正案が成立すれば、レベル3以上の自動運転機能を搭載する車両では、事故時の責任設計が従来の「運転者中心」から変わる。掲載記事によれば、メーカー側にはセンサーデータや運行記録の保存・管理が求められるため、車両のソフトウエアだけでなく、証跡を残す仕組みまで含めた設計が必要になる。

日本への影響

日本企業にとっては、車載センサー、データ記録装置、運行ログ管理など、責任立証に関わる部材・機能の設計要件が中国向け車両で強まる可能性がある。ただし、記事にある責任範囲はレベル3以上の作動時に限られるため、日本勢が影響を受けるかは、各社がどの運転自動化レベルを中国市場で展開するかに左右される。