何が起きたか
BYDオート・ジャパンは2026年7月28日、海外自動車メーカーとして初となる日本の軽自動車規格に合わせて専用設計したEVスーパーハイトワゴン「RACCO(ラッコ)」を発売した。開発は2024年1月に正式にスタートし、既存のEVモジュールが使えないため新たに「X-PACK統合EVシステム」を開発、15ヶ月を要した。BYDは要素技術が既にあったため、2年強で新車を一から開発できたとしている。
詳細
グレード展開は、エントリーグレードの「RACCO 200」(バッテリー容量22.4kWh)と、中間グレードの「RACCO 300 Plus」、最上級グレードの「RACCO 300 Premium」(いずれもバッテリー容量35.84kWh)の2モデル・3グレードで、ボディカラーは全6色。WLTCモードの航続距離は「RACCO 200」が210km、「RACCO 300 Plus」「RACCO 300 Premium」は320km。 開発の契機は、2023年10月のジャパンモビリティショー2023で来日したBYD本社の王伝福総裁が、日本の道路で軽自動車が氾濫しているのを認識し、日本市場専用の軽EV投入を決断したこと。ただしBYDはその2年前から日本の軽自動車に関するスタディを開始しており、超コンパクトカーに関する技術ノウハウ習得のため軽自動車を購入して研究していた。またBYDジャパンは当初、AセグメントEV「シーガル」の日本導入を求めていたが、本社が欧州向け戦略モデルと位置付けたため、日本市場向けエントリーモデルが改めて求められていた。 「X-PACK統合EVシステム」は、フロント駆動をコンパクトなモーター+減速ギヤの「2 in 1」とし、インバーター、DC/DCコンバーター、車載充電器などの電子制御ユニットをフロア面のブレードバッテリー前方に配置する設計。基本は「e-プラットフォーム3.0」で、リン酸鉄リチウムイオンバッテリー(LFP)のブレードバッテリーを床面構造材とするセルtoボディ(C2B)を採用し、車体ねじり剛性が30%向上、室内空間拡大と低フロア化を実現した。軽規格に合わせブレードバッテリーは通常より全長が短い形状。当初は「8 in 1」モジュールが検討されたが、前面衝突時のクラッシャブルゾーン確保が難しいため「X-PACK」を新開発した。 保証面では、ロングラン新車保証を新採用。車両保証は6年/15万km、重要部品は6年/15万km、EV高電圧・駆動部品は8年/16万km。駆動用バッテリーは基本保証8年/16万kmに加え、有償延長保証(税込み1万8000円)で最長10年/20万km。また、5年後の残価50%を想定した据置型ローン「ラッコ楽っとローン(ラコラク)」を設定した。 試乗した自動車ジャーナリストの山本晋也氏は「初代N-BOX以来の衝撃」と評し、軽自動車のレベルを上げるエポックメーキングなモデルと述べた。最上級グレード「300プレミアム」は電動調整シート、7インチ液晶メーター、軽自動車初のSDV(ソフトウェア定義車両)を搭載。OTAアップデート対応で、通信SIMを標準搭載する。ステップ高はフロント約370mm、リア約380mmで、N-BOXより高いがルークスやデリカミニより低い。発売から2週間で累計受注1000台を突破し、BYDの日本導入モデルとして過去最速のペースという。
Key Facts
| BYDオート・ジャパンは2026年7月28日、海外自動車メーカーとして初の日本軽自動車規格専用EV「RACCO(ラッコ)」を発売した。 | [1] |
| グレードは「RACCO 200」(22.4kWh)、「RACCO 300 Plus」「RACCO 300 Premium」(いずれも35.84kWh)の2モデル・3グレード。 | [1] |
| WLTC航続距離は「RACCO 200」が210km、「RACCO 300 Plus」「RACCO 300 Premium」は320km。 | [1] |
| 開発の契機は2023年10月のジャパンモビリティショーで来日したBYD本社の王伝福総裁が軽自動車の氾濫を認識し、日本専用軽EVの投入を決断したこと。 | [1] |
| BYDは2年前から日本の軽自動車に関するスタディを開始し、軽自動車を購入して研究していた。 | [1] |
| 2024年1月に軽EVの開発が正式にスタートし、設計から出図まで通常6ヶ月以内のところ、新たに「X-PACK統合EVシステム」を開発し15ヶ月を要した。 | [1] |
| 「X-PACK統合EVシステム」はフロント駆動をモーター+減速ギヤの「2 in 1」とし、電子制御ユニットをフロア前方に配置する設計。 | [1] |
| 基本は「e-プラットフォーム3.0」で、LFPブレードバッテリーを床面構造材とするC2Bを採用し、車体ねじり剛性が30%向上。 | [1] |
| ロングラン新車保証は車両6年/15万km、重要部品6年/15万km、EV高電圧・駆動部品8年/16万km。駆動用バッテリーは有償延長で最長10年/20万km。 | [1] |
| 据置型ローン「ラッコ楽っとローン(ラコラク)」は5年後の残価50%を想定。 | [1] |
| 最上級グレード「300プレミアム」は電動調整シート、7インチ液晶メーター、軽自動車初のSDVを搭載。 | [2] |
| 発売から2週間で累計受注1000台を突破し、BYDの日本導入モデルとして過去最速のペース。 | [2] |
なぜ重要か
海外メーカーとして初めて日本の軽自動車規格に専用設計したEVであり、軽スーパーハイトワゴンでは唯一のBEVとなる。BYDの独自技術「X-PACK」により短期間での開発を実現し、日本の軽自動車市場に新たな競争をもたらす可能性がある。
日本への影響
日本市場専用に開発されたモデルであり、日本の軽自動車規格に合わせた設計や保証制度、ローン設定など、日本市場を強く意識した内容となっている。