何が起きたか
ABBは2023年9月13日、スウェーデンのヴェステロースに総額2.8億ドルを投じたロボット工場を新設すると発表した。新工場は2026年に開所し、欧州顧客を主に担う。生産能力は50%増加し、欧州のロボット需要が年間7%増加する見込みに対応する。同社は中国・上海に1.5億ドルの工場を昨年開設しており、米国施設の拡張と合わせてグローバル生産体制を強化する。
詳細
ABBは2023年9月13日、スウェーデンのヴェステロースに2.8億ドルを投じたロボット工場を新設すると発表した。新工場は2026年に開所し、欧州顧客を主に担う。生産能力は50%増加し、欧州のロボット需要が年間7%増加する見込みに対応する。同社は中国・上海に1.5億ドルの工場を昨年開設しており、米国施設の拡張と合わせてグローバル生産体制を強化する。
Key Facts
| ABBはスウェーデンのヴェステロースに2.8億ドルを投じたロボット工場を新設すると発表した。 | [1] |
| 新工場は2026年に開所し、欧州顧客を主に担う。 | [1] |
| 生産能力は50%増加し、欧州のロボット需要は年間7%増加する見込み。 | [1] |
| ABBは昨年、中国・上海に1.5億ドルのロボット工場を開設した。 | [1] |
| ABBはBMW、Scania、Volkswagenなどにロボットを供給している。 | [1] |
本紙の見方
今回の発表は、ABBが中国市場への依存を維持しつつ、欧州での生産能力を増強するという二極化戦略の一環とみられる。CEOのBjorn Rosengren氏は、米中対立やパンデミック後のサプライチェーン見直しで、生産の欧州回帰(リショアリング)の動きがあると述べた。新工場は2026年に開所し、欧州顧客向けに生産能力を50%増強する。これは、中国・上海の工場(1.5億ドル)と米国施設の拡張と合わせたグローバル生産体制の再編であり、ABBが中国市場を「最大の成長市場」と位置づけつつも、地政学リスクを分散する動きと解釈できる。 本紙の過去報道では、ABBが中国市場で国産勢にシェアを奪われ、ロボット事業をソフトバンクに売却したと報じたが、今回の発表は2023年時点のものであり、その後の戦略転換を反映している可能性がある。また、ABBはNVIDIAとの提携やPSYONICとの協業など、AI・物理AI分野での取り組みを進めており、今回の工場新設はそうした技術を量産する基盤として位置づけられる。 業界構造への含意として、ABBの生産能力増強は、欧州でのロボット需要の増加(年間7%)に対応するものであり、競合のFanucやKukaとの競争が欧州でも激化することが予想される。また、リショアリングの流れは、サプライチェーンの短縮化を促し、部品供給の現地化を進める可能性がある。 未確定の論点としては、新工場で生産される具体的なロボットモデルや、生産能力50%増の内訳(どの製品ラインが増強されるか)が明らかでない。また、中国市場でのABBの今後の投資計画や、米国施設の拡張内容も詳細は不明である。
なぜ重要か
ABBの欧州での生産能力増強は、地政学リスクを背景にした製造業のリショアリングの流れを象徴する。ロボット需要の増加に対応するだけでなく、サプライチェーンの現地化が進むことで、欧州の製造業の競争力に影響を与える可能性がある。
日本への影響
日本はロボット大手のFanucや安川電機を擁するが、ABBの欧州での生産能力増強は、欧州市場での競争激化を示唆する。日本のロボットメーカーは、欧州での現地生産やサプライチェーン強化が課題となる可能性がある。