何が起きたか

フォルクスワーゲン(VW)は2022年10月13日、中国の自動運転チップ企業Horizon Robotics(地平線)と合弁会社を設立すると発表した。ソフトウェア子会社CARIADが60%を出資し、総投資額は20億ドル超。中国市場向けに自動運転機能を1チップに統合する技術を開発する。

詳細

CARIADはHorizon Roboticsに10億ドルを直接投資し、さらに合弁会社に13億ユーロ(約12.6億ドル)を投じる。取引は2023年上半期に完了予定。合弁会社は中国市場専用に、自動運転の複数機能を1チップに統合する技術を開発する。VWはこれにより、北米・欧州・中国の主要地域それぞれに半導体サプライヤーを持つことになる。既存の米クアルコム、仏伊STマイクロエレクトロニクスとの供給関係に加え、中国ではHorizon Roboticsが担う。クアルコムとの提携と異なり、CARIADはHorizon Roboticsとチップ技術開発に積極的に関与し、ノウハウを共有する。

Key Facts

フォルクスワーゲンは2022年10月13日、CARIADとHorizon Roboticsの合弁会社設立を発表した。CARIADが60%を出資する。[1]
CARIADはHorizon Roboticsに10億ドルを投資し、合弁会社に13億ユーロ(約12.6億ドル)を追加投資する。総額は20億ドル超。[3]
合弁会社は中国市場専用に、自動運転の複数機能を1チップに統合する技術を開発する。[3]

本紙の見方

今回の発表は、VWが中国市場での自動運転技術開発を現地化するための布石とみられる。総投資額20億ドル超のうち、Horizon Roboticsへの直接投資10億ドルと合弁会社への13億ユーロという構成は、単なる資本参加ではなく、技術開発の中核を担う姿勢を示す。CARIADが60%を出資し主導権を握る一方、Horizon Roboticsの既存技術を活用する形だ。 本紙の過去報道では、メルセデス、Sクラスでアブダビにレベル4ロボタクシー参入 2026年に商業運行へで、メルセデスが中国のMomentaと提携し、強化学習モデルを採用した。今回のVWの動きも、中国の自動運転技術を自社製品に取り込む点で共通する。ただし、メルセデスが特定モデル向けの技術供与を受けるのに対し、VWは合弁会社を通じてチップ開発に直接関与する点が異なる。 また、ボッシュ、E2E自動運転で中国技術を世界展開へ ASEAN市場に拡大、日本でも公道試験で報じたように、ボッシュも中国の文遠知行と組んでE2E技術を世界展開している。欧州の大手が中国の自動運転技術を活用する流れが加速している。VWは今回の合弁で、中国市場向けに特化したチップを開発することで、現地のニーズに迅速に対応する狙いがある。 業界構造への含意として、VWはクアルコム、STマイクロ、そしてHorizon Roboticsと、地域ごとにサプライヤーを分散させる戦略を取る。これは、半導体の供給リスクを分散しつつ、各地域の規制や市場特性に合わせた技術開発を可能にする。特に中国では、自動運転データの越境規制が厳しく、現地開発が不可欠とされる。今回の合弁は、そうした規制対応の側面も持つ。 未確定の論点としては、合弁会社が開発するチップの具体的な性能や搭載車種、量産時期が明らかでない。また、CARIADが主導するとはいえ、Horizon Roboticsの技術がどの程度反映されるのか、両社の役割分担も今後の焦点となる。

なぜ重要か

VWが中国市場で自動運転技術を現地化する動きは、欧州メーカーが中国の技術を活用する流れを象徴する。半導体サプライヤーを地域ごとに分散する戦略は、供給リスク管理と規制対応の両面で業界の参考になる。

日本への影響

VWが中国のHorizon Roboticsと組むことで、中国製自動運転チップの採用が進む可能性がある。日本の半導体・部品メーカーにとっては、中国市場での競争が激化する一方、VWの地域別サプライヤー戦略が日本にも波及するかが注視される。