何が起きたか
宇樹科技(688836.SH)は2026年8月10日に科創板の申し込みを開始した。発行価格は150.80元/株、発行4044.64万股、調達額は約61億元、発行後時価総額は約610億元で、2025年ベースの希薄化後PERは219.23倍。戦略配分にはDeepSeekが1.41億元で参加し、36か月のロックアップが設定された。
詳細
発行総額は約61億元で、うち純調達額は約59.17億元。当初計画の42.02億元を約19億元上回る。発行後総株式数は約4.04億株。戦略配分の初期数量は808.9286万股で、発行数量の20%。DeepSeekのほか、社保基金、腾訊、中石油、南方電網が戦略配分に参加。2025年の売上高は16.99億元、純利益は2.78億元。2026年第1四半期の非GAAP純利益は前年同期比52.55%減。
Key Facts
| 宇樹科技は2026年8月10日に科創板の申し込みを開始した。発行価格は150.80元/株、発行4044.64万股、調達額は約61億元、発行後時価総額は約610億元。 | [1] |
| 2025年ベースの希薄化後PERは219.23倍で、業界平均の38.56倍を4倍以上上回る。 | [3] |
| 戦略配分にはDeepSeekが1.41億元で参加し、36か月のロックアップが設定された。 | [1] |
| 2025年の売上高は16.99億元、純利益は2.78億元。2026年第1四半期の非GAAP純利益は前年同期比52.55%減。 | [1] |
| 発行総額は約61億元で、純調達額は約59.17億元。当初計画の42.02億元を約19億元上回る。 | [3] |
本紙の見方
今回のIPOは、宇樹科技の資金調達というだけでなく、中国のヒト型ロボット産業における資本市場の評価軸を明確に示した。発行価格150.80元、PER219倍は、業界平均の38.56倍を大きく上回り、市場が「人形ロボット元年」として将来の成長を織り込んだ結果だ。特に、戦略配分にDeepSeekが1.41億元で参加したことは、AIモデルとロボットの融合が資本関係として具体化した点で重要である。本紙が2026年8月12日に報じたDeepSeekと宇樹科技の資本業務提携は、この戦略配分によって裏付けられた。 調達資金の使途は、ロボットの自律動作を担う「大脳」とAIモデルの強化に充てられるとされる。これは、宇樹科技が単なるハードウェアメーカーではなく、AIとロボットを垂直統合したフィジカルAI企業としての地位を目指すことを示す。本紙が2026年8月17日に報じた新型ヒューマノイド「Superman」の発表も、この戦略の延長線上にある。 一方で、2026年第1四半期の非GAAP純利益が前年同期比52.55%減と短期業績の変動が顕著である。PER219倍は、この業績変動を織り込んだ上での将来期待に依存している。建銀国際は目標時価総額1090億元で初日79%上昇を予想するが、一部機関は300億〜450億元の評価中枢を示し、破発の可能性も指摘する。市場の期待と実績の乖離が、今後の株価変動の焦点となる。 また、今回のIPOで調達した資金が「大脳」とAIモデルに重点配分されることは、ロボット本体の量産能力や部品調達には直接使われない可能性を示唆する。宇樹科技は、ソフトウェアとAIの強化に注力する一方で、ハードウェアの量産は外部委託に依存する構造が続くのか、それとも自社でファウンドリー機能を構築するのか、今後の戦略が注目される。
なぜ重要か
宇樹科技のIPOは、中国のヒト型ロボット産業が資本市場でどのように評価されるかの試金石となる。PER219倍という高評価は、AIとロボットの融合に対する市場の期待を反映するが、業績変動との乖離がリスクとして残る。DeepSeekの戦略参加は、フィジカルAIのエコシステムが資本関係を通じて形成されつつあることを示す。
日本への影響
宇樹科技のIPOで調達した資金がAIモデルと「大脳」に重点配分されることは、ロボット本体の量産や部品調達には直接使われない可能性を示す。日本のロボット部品メーカーにとっては、宇樹科技がハードウェアの内製化を進めるか、外部調達を続けるかが注視点となる。特に、モーターやセンサーなどの主要部品で日本企業が強みを持つ分野であり、宇樹科技の調達戦略次第でサプライチェーンに影響が出る可能性がある。