何が起きたか

台湾の立法院は2026年8月14日、2026年度中央政府総予算を可決した。総額はNT$2兆9869億(約930億米ドル)で、当初案のNT$3兆340億からNT$480億減額された。うち無人機産業の発展・調達関連NT$634億は、野党・国民党(KMT)が70%削減を脅かしていたにもかかわらず、全額維持された。可決までに記録的な266日を要した。

詳細

予算案は2025年8月に行政院が提出したが、与野党の対立で審議が遅れ、法定の期限を過ぎていた。立法院は2026年8月14日に可決した。無人機関連予算NT$634億は、KMTが重複による無駄遣いを理由に70%削減を主張していたが、KMT幹部会は8月14日の声明で「重複がない」と判断し、削減を見送った。また、行政院の6カ年計画(NT$442億、約14億米ドル)の無人機開発プログラムも全額承認された。台湾軍の無人機保有数は、民主社会・新興技術研究所(DSET)の推計で5,000機未満とされる。

Key Facts

台湾立法院は2026年8月14日、2026年度中央政府総予算を可決。総額NT$2兆9869億(約930億米ドル)。[3]
無人機関連予算NT$634億は削減されず全額維持された。[3]

本紙の見方

今回の予算可決は、台湾の無人機調達・開発をめぐる政治対立が一応の決着を見たことを示す。最大の焦点は、野党・国民党が削減を主張していた無人機関連予算NT$634億が全額維持された点だ。これは、KMTが「重複による無駄遣い」を理由に70%削減を主張していたが、最終的に「重複なし」と判断したためである。この判断は、無人機が台湾の防衛戦略において不可欠であるという認識が、与野党を超えて共有されていることを示唆する。 一方で、予算可決までの遅れは、台湾の政治的分断の深刻さを浮き彫りにした。予算案は2025年8月に提出されたが、可決までに266日を要し、法定の期限を大幅に超過した。この遅れは、無人機の調達・開発スケジュールに影響を与える可能性がある。特に、2025年11月に提案されたNT$1.25兆(約400億米ドル)の特別防衛予算には21万機以上の無人機の大規模調達が含まれていたが、2026年5月に可決された際に国内生産分の予算が削除された経緯がある。今回の年度予算で無人機関連が維持されたとはいえ、特別予算での国内生産分の欠落は、台湾の無人機産業の育成に影を落とす。 さらに、台湾軍の無人機保有数はDSETの推計で5,000機未満とされ、ウクライナ戦争で示された無人機の有効性を踏まえると、まだ十分とは言えない。今回の予算で調達・開発が進むとしても、実際の配備には時間がかかる。また、調達プロセスには依然として障害が残る。ドミノ・セオリーの報道によれば、調達には道路障害が残るとされ、予算成立後も円滑な調達が進むかは不透明だ。 今後の焦点は、特別防衛予算での国内生産分の扱いと、実際の調達スケジュールの順守である。特に、2026年8月時点で特別予算の委員会審査は完了したが、本会議での採決はまだであり、野党が多数を占める場合、可決は2027年初頭までずれ込む可能性がある。この遅れが、台湾の無人機戦力構築にどの程度影響するかが注視される。

なぜ重要か

台湾の無人機関連予算が全額維持されたことは、台湾が中国との軍事的緊張の中で無人機を防衛の要と位置づけていることを示す。予算可決の遅れは、政治的分断が防衛整備に与えるリスクを浮き彫りにし、今後の調達・開発の進捗が台湾の抑止力に直結する。