何が起きたか
リクエスト株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役:甲畑智康)は2026年8月27日、マニュアルや手順書を土台に、実際の仕事で得られた判断と結果を継続的に加えていくための図解資料「判断デザイン|マニュアル継続改善編」全10ページを公開した。同社は980社・33.8万人の働く人のデータを基盤に組織行動科学の研究・教育開発を行う。資料は既存マニュアルの全面改訂ではなく、標準手順をそのまま適用できない条件、担当者が判断に迷う箇所、想定外の例外、経験者が暗黙に確認している事実、担当者による結果の違い、実施後に分かったことを必要な箇所へ加える継続改善を提案する。
詳細
資料は全10ページで、図解1〜10により構成される。図解1では「すべてのマニュアルを変える活動ではない」とし、標準手順で一定品質を再現できる仕事は維持し、条件差・例外・担当者による結果差がある仕事から改善する。図解2ではマニュアルが「仕事の進め方を共有する文書」から「条件に応じた判断と結果を次の人へ残す業務基盤」へ変わるとする。図解3ではマニュアルを業務プロセスの流れ(成果→プロセス→工程→仕事と判断→能力・権限→実行結果→次の改善)の中に位置づける。図解4では「手順か判断か」の二者択一ではなく、標準手順が機能する条件と、条件が異なる場合に必要な判断を分ける。図解5では仕事の知恵の継承を四段階(成果物を残す、目的・条件・行動・結果のつながりを残す、判断の構造を残す、次の人が判断する経験を設計する)で整理する。図解6では経験者の判断を事実と結果に照らして確かめ、次の人が使える形にする基本構造を示す。図解7では情報をマニュアル本体、判断条件表・判断記録、実施結果・変更履歴の三つに分けることを提案する。図解8ではAIをマニュアルの自動的な作り直しには使わず、現在の正式版の確認から実務との差の確認、改善候補の整理、人による確認・承認、更新後の結果確認までの循環を示す。図解9では仕事の遅延や品質差の原因をマニュアルや本人に最初から決めず、業務プロセス、担当者、知識・手順・判断・経験、現在できていること、実際に止まっている箇所を確認した上で改善方法を選ぶ。図解10では対象を「一つの業務成果→一つの業務プロセス→一つの既存マニュアル→一つの重要な判断→一人または少人数の判断経験」まで絞り、判断デザイン、判断経験設計、判断構造設計Proをつなぐ最小の実践単位を示す。
Key Facts
| リクエスト株式会社は2026年8月27日、「判断デザイン|マニュアル継続改善編」全10ページを公開した。 | [1] |
| 同社は980社・33.8万人の働く人のデータを基盤に組織行動科学の研究・教育開発を行う。 | [1] |
| 資料は既存マニュアルの全面改訂ではなく、標準手順を土台に条件差・例外・実施結果が生じる仕事から必要な箇所だけを改善する継続改善を提案する。 | [1] |
| 図解7では情報をマニュアル本体、判断条件表・判断記録、実施結果・変更履歴の三つに分けることを提案する。 | [1] |
| 図解8ではAIをマニュアルの自動的な作り直しには使わず、AIの出力は確認前の仮説とし、正式な判断と更新内容は人が確定するとする。 | [1] |
本紙の見方
今回の資料公開は、リクエストがこれまで提供してきた「判断デザイン」の考え方を、マニュアルの継続改善という具体的な業務プロセスに適用した点で新規性がある。同社は従来から組織行動科学に基づく研究・教育開発を行っており、今回の資料はその実践編として位置づけられる。資料の核心は、マニュアルを一度限りの文書作成として終わらせず、実務と結果を通じて成熟させるという視点にある。これは、AI時代におけるナレッジマネジメントの方向性を示すもので、AIの出力を「確認前の仮説」と位置づけ、正式な判断は人が確定するというスタンスは、AI活用におけるガバナンスの一つのモデルとなる。 本紙の過去報道は存在しないため、連続性の分析はできないが、同社の事業基盤である980社・33.8万人のデータは、この手法の裏付けとなる。資料は、マニュアルを単独の文書として見ず、業務プロセス全体の中に位置づけることで、改善の効果を最大化しようとする。特に、図解7の情報の三区分(マニュアル本体、判断条件表・判断記録、実施結果・変更履歴)は、情報過多による実務での使いにくさを回避するための実践的な提案であり、マニュアル運用の現場で直面する課題への具体的な回答となっている。 業界構造への含意としては、マニュアル改善と人材育成を別々に進めるのではなく、一体的に捉える視点が挙げられる。図解10では、個人の判断経験を組織の学習・更新へ変える最小の実践単位を示しており、これは属人化の解消や組織能力の向上に寄与する可能性がある。また、AI利用の注意点を明示し、機密情報の入力禁止や初動手順の優先を挙げている点は、企業のAI活用におけるリスク管理の参考になる。 未確定の論点としては、本資料が実際にどのような組織で導入され、どのような効果を上げているのかという実証データが公開されていないことが挙げられる。また、判断デザインの商標登録出願中である点や、判断構造設計Proの具体的な実装方法についても、今後の情報公開が待たれる。
なぜ重要か
本資料は、マニュアルを「完成した時点ではなく、使った後から成熟する」という視点で捉え直し、AI時代における知識継承の方法論を提示する。企業がマニュアル整備の次の段階に進むための具体的な手順を示しており、人材育成と業務改善を統合する実践的な枠組みとして、多くの組織にとって参考になる。
日本への影響
日本の製造業やサービス業では、長年蓄積されたマニュアルや暗黙知の継承が課題となっている。本資料は、標準手順と判断を分離し、判断理由や実施結果を記録する構造を提案することで、属人化の解消や品質の安定に寄与する可能性がある。特に、経験者の判断を「事実と結果に照らして確かめ」るプロセスは、日本の職場で重視される現場知を形式知化する手法として、応用が期待される。