何が起きたか
QNXは2025年11月11日、職場ロボットへの信頼に関する調査結果を発表した。世界の技術リーダー1,000人を対象にした調査で、77%がロボットを信頼すると回答。信頼の理由は安全性・リスク軽減(42%)、信頼性・性能(40%)が上位を占めた。
本紙の見方
QNXの調査は、職場ロボットへの信頼が技術リーダーの間で広く浸透していることを示す。77%という数字は、ロボットが単なる実験段階ではなく、実務の中核機能に組み込まれつつあることを裏付ける。信頼の理由として安全性と信頼性が上位を占める点は、ロボット導入の障壁が技術的性能から運用面の保証へと移行していることを示唆する。 本紙の過去報道と照らし合わせると、この傾向は一貫している。2026年1月8日の『IFR、2026年のロボット業界トレンド5選を発表 AI自律化とIT・OT融合が軸』では、AIによる自律性の向上とIT・OT融合が主要トレンドとされた。今回の調査で信頼の理由にセキュリティとデータ保護(31%)が挙がったことは、IT・OT融合が進む中でサイバーセキュリティが信頼の前提条件になりつつあることを示す。また、2025年10月22日の『IFR、2024年のロボット設置台数は54万2076台 横ばいも中国に回復の兆し』では、世界の設置台数が横ばいである一方、AIとソフトウェア主導の自動化が中小企業に普及し始めているとされた。今回の調査で企業の71%が導入済みか計画を持つという結果は、この普及の流れを定量的に裏付けるものだ。 業界構造への含意として、信頼の理由に安全性(42%)と信頼性(40%)が並ぶことは、ロボットベンダーにとって安全認証や実績のアピールが競争力の核心になることを意味する。特に、QNXのような組み込みOSベンダーがこの調査を主導した点は、ロボットの信頼性がハードウェア単体ではなく、ソフトウェア基盤を含むシステム全体で評価される時代に入ったことを示す。QNXは自動車分野で実績を持つが、ロボット分野での信頼調査を発表することで、産業用ロボット市場への参入意図を示したとみられる。 一方で、この調査は技術リーダーの認識を測ったものであり、実際の導入率や現場の労働者の認識とは乖離がある可能性がある。また、調査対象が主要産業と主要地域に限定されており、中小企業や新興国市場の状況は反映されていない。 今後確認すべき点は、第一に、この信頼が実際の導入率の伸びに結びつくかどうか。第二に、安全性と信頼性の内訳が産業別・地域別でどう異なるか。第三に、QNXがこの調査を自社製品のマーケティングにどう活用するか、である。
なぜ重要か
ロボットへの信頼が77%に達したことは、産業界がロボットを不可欠な存在として受け入れつつある証左だ。信頼の理由が安全性と信頼性に集中する点は、今後のロボット開発が性能競争から信頼構築競争へ軸足を移すことを示唆する。
日本への影響
調査対象に日本が含まれており、日本の技術リーダーの信頼度は公表されていないが、日本は製造業でのロボット導入が進む市場として知られる。QNXの調査が示す信頼の理由(安全性、信頼性)は、日本のロボットメーカーが強みとする分野であり、今後の市場競争で優位性を発揮する可能性がある。