何が起きたか
NHTSAは、ハンドルとブレーキペダルを持たない車両に対して史上初の商業免除をAmazon傘下の自動運転タクシー開発企業Zooxに付与した。Zooxはこれを受け、8月10日に米ネバダ州ラスベガスで有料の自動運転タクシーサービスを始めた。
本紙の見方
今回の焦点は、Zooxが有料運行を始めたことそのものより、NHTSAがハンドルとブレーキペダルを持たない車両を商業免除の対象として正式に扱った点にある。車両の形状を人間運転前提の基準に合わせるのではなく、無人運転専用設計をどこまで制度が受け入れるかが、今回の枠組みで一段具体化したとみられる。しかも免除は2年間、年間最大2,500台、対象は8つのFMVSSに限られており、全面的な自由化ではなく、数量と基準を区切った限定承認である。本紙の関連記事Teslaのロボタクシー、24時間運行へ準備 現行は午前6時から午後10時までやテスラ車の一時停止無視事故で死亡、FSD作動を確認、Teslaに約2億4257万米ドルの賠償評決、2019年の事故めぐりを踏まえると、Teslaが自己認証で有料運行を始めた一方で、Zooxは免除という別の制度経路を通ったことが対照的である。ここで読めるのは、ロボタクシーの競争が走行台数や走行エリアだけでなく、どの法制度で運行を正当化するかという争点に移っていることだ。NHTSAが追加報告義務を課した以上、今後は事故・不適切停車・運行条件の開示が評価軸になるとみられる。構造的には、車両設計、規制免除、商用運行の順に制度がつながった。つまり、車両を作るだけではなく、どの安全基準を外し、どの代わりに何を報告するのかまで含めて事業設計する局面に入っている。Amazon傘下のZooxがこの枠組みを得たことで、車両開発とサービス運営を一体で進める企業にとって、制度対応そのものが競争力の一部になりうる。もっとも、対象は年間最大2,500台にとどまるため、実運用でどこまで拡大できるか、追加報告が安全性評価にどう反映されるかはまだ確定していない。詳細は原典を参照されたい。
なぜ重要か
NHTSAが8つのFMVSSについてZooxに商業免除を認めたことで、無人運転専用車両を商用サービスに載せる制度上の道筋が具体化した。従来の自己認証だけではなく、免除と追加報告の組み合わせが必要になる場面があることを示した点で、ロボタクシー各社の運行設計に直接関係する。
日本への影響
日本で同様の無人運転専用車両を事業化する場合、車両設計そのものよりも、どの安全基準をどう扱い、どの追加報告を求められるかという制度対応が先に問われるとみられる。自動車メーカーや部品企業にとっては、ハンドル、ブレーキ、ミラー類など人間運転前提の装備を前提としない設計への対応が論点になるが、国内制度との比較には追加確認が必要である。